研究概要 |
本研究では我々が単離した遺伝子SSEC-Dが母性RNAとして発現しながら,受精後一過性に高分子化する(300ntds)という現象を手がかりに,哺乳類における受精後の個々の母性RNAの消長と接合子型RNAの発現に関わるRNA情報の動態と変化の分子的基盤を明らかにすることを最終目的とする. 11年度の研究計画にしたがって報告する 1.初期mRNAの動態を司るシスアクティングRNA配列大子の同定・解析 変異型RNAの初期胚注入およぴトランスジェニックマウスの作製後,ノザン法や,リアルタイムPCRを用いたcDNA定量法,RNA-ligase mediated 3' RACE法RNA-ligase mediated 3'RACE法を用い,polyAの伸長・短縮・分解反応を支配するSSEC-DRNA上の配列を解明する予定であったが、合計5系統のトランスジェニックマウスを作製することに成功した。普遍性の検討のために,同様の挙動を示す他のマウス初期胚mRNAについての解析やアフリカツメガエルの卵母細胞を用いた解析も準備中である. 2.初期胚mRNAの構造変化の生物学的意味の解明 1と同様の発生工学的手法により,鎖長変化が,RNA分子の安定性,及ぴ,それからの翻訳効率に及ぽす影響をlacZあるいはGFPといったマーカーを併用して測定するための予備実験を開始した.とくにこの研究では,高感度の分子生物学的手法と発生工学的手法が重要であり、現在10個程度のマウス初期胚で検出可能な系を確立した.
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