研究課題/領域番号 |
11156217
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鷲津 正夫 京都大学, 工学研究所, 教授 (10201162)
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研究分担者 |
加畑 博幸 京都大学, 工学研究所, 助手 (70293884)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1999年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | T7RNAポリメラーゼ / Eco RI / DNA / モーター蛋白質 / 可視化 |
研究概要 |
転写モーターは、DNA上を運動するとき1)RNA合成を伴う自走と、2)結合部位探索のための受動的な滑り拡散の2つの異なる機構を使い分けている。滑り拡散は近年、自走のみを行うとされてきた筋肉モーター蛋白質にも見い出され始めた。そこで、蛋白質の種類による滑り運動の同一性・多様性を解明する一助として、T7RNAポリメラーゼ酵素およびEco RI制限酵素のDNA上における分子動態を顕微鏡で観察した。酵素は、ヘパリン樹脂存在下で蛍光修飾することにより活性を保持した分子だけを光点として可視化した。DNAは、スライド上に作製した薄膜電極間で一直線状に伸長しかつ両端で固定した。可視化されたEco RIを伸長固定化DNAに注入したところ、(A)DNA上の特定位置に結合した分子、(B)DNAの伸長方向に沿って直線的に滑り運動する分子が観察された。A群について、Eco RI分子が結合した位置はDNA上のEco RIの認識配列が存在する場所と一致した。これはEco RIの特異的DNA複合体を可視化したものと考えられる。B群の中には、DNA上の移動途中に特定位置で停止するものが含まれており、停止位置はA群での結合位置と一致していた。これは、速度論的研究で想定されているEco RIが滑りながら認識配列を探索して結合を果たすというモデルを実証したものと思われる。分子の一部は認識部位で停止することなく滑り運動を続けたことから、Eco RIは認識配列を見過ごす可能性を見い出した。可視化T7RNAポリメラーゼ分子にもA群が観察され、転写モーターが運動初期に行うバイナリー複合体形成であると考えられる。RNA基質を添加したところ、RNA合成を示す自走は観察されなかった。これは、スライド表面とバイナリー複合体との吸着により転写運動が阻害されたためであると考えられる。そこで現在溝つき電極による解決を試みている。
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