研究課題/領域番号 |
11157214
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
下濱 俊 京都大学, 医学研究所, 助手 (60235687)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 脳虚血 / 細胞死 / アポトーシス / グリア / アデノシン / イノシン / ヌクレオテド / レセプター |
研究概要 |
近年虚血下におけるグリア細胞の機能異常や細胞死が脳虚血の病態生理に大きく関わっていると考えられている。脳虚血に際してヌクレオシドの一種であるアデノシンの細胞外濃度の著明な上昇が起こることが知られているが、グリア細胞に与える影響については不明である。今回我々は虚血ストレス下における細胞外アデノシンの作用につき検討を行った。培養グリア細胞(C6細胞)に2時間の化学的虚血ストレスを負荷、ストレス負荷中および負荷後にアデノシンを投与しその与える影響について検討した。ストレス負荷中にアデノシンを同時投与すると著明な細胞保護効果を示した。この保護効果はレセプターを介さず、細胞内輸送及びイノシンへの転換を必要とした。一方、負荷後の回復期にアデノシンを投与すると逆に細胞生存に負の効果がみられ、これはアデノシンによるアポトーシスの促進作用のためと考えられた。このアポトーシス促進効果もまた、レセプターを介さず細胞内輸送によることが示された。しかしイノシンにはこうした効果はみられず、細胞内における他の代謝経路の関与が考えられた。このアポトーシスには、bcl-2の低下、baxの上昇、HSP70,HSP27の低下というアポトーシス関連遺伝子とストレス蛋白質遺伝子の発現変化を伴い、さらにミトコンドリアから細胞質へのチトクロームCの放出が観察された。虚血下におけるアデノシンの効果には二面性がみられ、その効果は細胞内における代謝経路に依存している可能性が示された。さらにアデノシンによるアポトーシスが、幾つかの遺伝子発現の変化からチトクロームCの放出を介した系にて誘導されていると考えられた。こうした結果から、虚血下における細胞外アデノシンの上昇がグリア細胞の生存に大きく関わっていることが示唆され、この二面性の効果のさらなる解明がグリア細胞の機能制御、ひいては虚血病態の改善につながる可能性が示された。
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