研究課題/領域番号 |
11157233
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
黒田 洋一郎 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 参事研究員 (30073084)
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研究分担者 |
村本 和世 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主事研究員 (10301798)
川原 正博 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主事研究員 (40224828)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | シナプス脱落 / シナプス再形成 / 共焦点レーザー走査顕微鏡 / 神経初代培養細胞 / 免疫細胞染色 / 大脳皮質 |
研究概要 |
神経細胞死に関連したシナプスの脱落は、神経系の機能障害を理解する上で重要であり、脱落後のシナプス再形成機構の解析は、神経機能の修復すなわち治療への応用にも意義があると考えられる。この機能回復の実態を細胞・分子レベルで明らかにするために、大脳皮質などの中枢培養神経細胞を用いた実験系、ことに培養系でのシナプスの脱落と再形成を可視化して観察するシステムについて検討した。シナプスの変化を可視化する解析法として、シナプスに局在するマーカー蛋白質に対する抗体を用いた免疫細胞染色を行い、共焦点レーザー走査顕微鏡観察と高精細3次元画像構築ソフト・IMARISなどを用いて、シナプスレベルでの形態的変化の観察を試みた。いずれの抗体によっても、ニューロンの細胞体、樹状突起上などにシナプス様の細かい粒状の染色像が観察され、中枢神経細胞培養系内で、多数のシナプスが成形されていることが可視化できた。用いる抗体により、例えば、興奮性シナプスについては抗NMDA受容体抗体、抑制性シナプスについては、抗GABA_A受容体抗体や抗Glutamic Acid Decarboxylase(GAD)抗体などを用いることにより、興奮性、抑制性のシナプスを個別に観察したり、シナプス前と後シナプスを別々に観察することが可能となった。さらに、三次元構築した共焦点画像を、IMARISを用いて処理加工した。これまでの共焦点レーザー顕微鏡観察でも、ニューロンの細胞体、樹状突起上に分布するシナプスを捉えることができたが、画像解析ソフトを用い、染色像を360度回転させることにより、理論上は、あるニューロンに存在する全てのシナプスが観察可能であり、シナプスの詳細な位置関係や形状なども調べることが可能となった。このシステムを用いることで、培養ニューロン間に形成されたシナプスの形態・数そしてその変化などを、電子顕微鏡を用いるのよりもはるかに簡便かつ詳細に追跡できる可能性がある。さらに、薬剤処理や損傷を与えた後のシナプスの脱落・修復過程を経時的に追跡したり、定量的に評価したりすることも可能であり、応用として、シナプスに障害を与えたり修復を促進するような因子の選別も容易に行えると思われる。
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