研究課題/領域番号 |
11158204
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新井 洋由 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (40167987)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | コレステロール / スカベンジャ受容体 / HDL / PDZドメイン |
研究概要 |
HDLは抗動脈硬化作用を有するリポ蛋白質で、末梢組織に蓄積した過剰のコレステロールを引き抜き、肝臓へ輸送して処理・排泄する機構(コレステロール逆転送系)に重要な役割を担っている。肝臓でのHDLからのコレステロールエステル(CE)の取り込みは、SR-BIと呼ばれる受容体が主に機能していることが知られているが、形質膜の内側に取り込まれたCEが如何にしてさらに細胞内へと輸送されるかについては、その分子機構は全く解明されていない。私は、本分子機構を解明する目的でSR-BIのC末端細胞質ドメインに結合する蛋白質をラット肝臓からアフィニティーカラム法を用いて検索することにより、新規蛋白質を同定し、C-terminal Linking And Modulating Protein(CLAMP)と命名した。CLAMPは、蛋白質-蛋白質相互作用に関わるPDZドメインを分子内に4個含む蛋白質で、最もN末端側のPDZドメイン(PDZ1)がSR-BIのC末端と結合することが明らかとなっている。 本年度はまず、放射標識したアポ蛋白質及びCEを含むHDLを細胞とインキュベーションし、HDLの細胞結合量及びCEの選択的取り込み量を解析した。その結果、SR-BIが単独で発現している細胞に比べて、SR-BIとCLAMPが共発現している細胞では、SR-BI蛋白質の発現レベルが上昇することにより、両数値は2-3倍上昇することが分かった。更に、細胞内に取り込まれたCEのその後の代謝を解析した結果、SR-BI単独と比べて、SR-BIとCLAMPが共発現している細胞では、CEから遊離型コレステロールヘの変換率が有為に抑制されることが明らかとなった。また、SR-BIとCLAMPが共発現している細胞において、SR-BI及びCLAMPの両蛋白質がフィラメンタスな特徴的な分布を示すこと、さらにそれらの分布がマイクロフィラメントと一致することが分かった。肝臓の形質膜はリポ蛋白質代謝に関わるシヌソイド膜と、胆汁排泄に関わるカナリキュラー膜の2つに大別される。ラット肝臓において、SR-BIは両膜画分に存在するのに対し、CLAMPは主にシヌソイド膜に分布することが分かった。
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