研究課題/領域番号 |
11159216
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
中田 博 京都産業大学, 工学部・生物工学科, 教授 (90113141)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | ムチン / マクロファージ / スカベンジャーリセプター / サイトカイン / プロスタグランジンE2 / 一酸化窒素 |
研究概要 |
上皮性癌細胞の生産するムチン型糖タンパク質については、癌細胞表層に存在する同分子の一部がセレクチンのリガンドとして機能することが知られているが、その他の機能についてはほとんど解明されていない。我々は分泌された同糖タンパク質がマクロファージ上のスカベンジャーリセプターに結合し、マクロファージを活性化することを見出した。既に報告したヒト単球由来細胞株THP-1細胞に加えて、ヒト末梢血より調整した単球やマウス腹腔マクロファージについても同様の知見を得るとともに、様々なサイトカインの他に生理活性物質であるプロスタグランジンE2や一酸化窒素の分泌が亢進することを見出した。すなわち、ヒト末梢血の単球に、ヒト腸癌細胞の培養上清より調整したムチン型糖タンパク質を加えることにより、IL-1β,IL-6、IL-8、IL-10などのサイトカインの他に、プロスタグランジンE2の分泌が亢進すること、その分泌は濃度依存的であることを見出した。また、プロスタグランジンE2合成の調節酵素で誘導酵素であるシクロオキシゲナーゼ2の誘導をmRNAおよびタンパク質レベルで確認した。一般的にプロスタグランジンE2は、消炎、免疫抑制に働くことが知られており、癌患者に一般的に見られる免疫能力の低下に関連する現象と考えられる。なお、IL-6やL-10は、癌患者血液中で増加することが知られているサイトカインであり、この現象に起因することが考えられる。また、マウス腹腔マクロファージを用いたin vitroの系では、ムチン型糖タンパク質を加えることにより、プロスタグランジンE2の他に、一酸化窒素の生産が亢進することがわかり、誘導性一酸化窒素合成酵素のmRNAの発現も確認した。一酸化窒素によるT細胞増殖の抑制も報告されており、癌患者における免疫能力の低下の原因の一つと考えられる。
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