研究課題/領域番号 |
11160210
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
武内 恒成 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (90206946)
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研究分担者 |
高橋 直樹 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (30179501)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 細胞接着 / 蛋白質大量発現 / アクチン / 細胞骨格 |
研究概要 |
1)新規神経特異的アクチン結合蛋白質ClipinCと神経系小胞輸送に関わるmgl-1の機能と、それらのWD40ドメインの分子機能とその構造解析。 我々が単離したClipinCは、細胞性粘菌の移動、分裂、食作用に重要な機能を持つとされる細胞性粘菌アクチン結合分子Coloninの哺乳類ホモログで、細胞内において細胞-基質間接着部位に濃縮するとともに、軸索伸長にも機能した。また細胞接着裏打ち分子Vinculinと、さらには、低分子量G蛋白質Rac下流でNADPH oxidaseを制御するP40Phoxとも結合することを明らかとした。また、転写因子の抗体を用いたDNA-蛋白質複合体の免疫精製法を用いてHoxC8の標的分子mgl-1をマウスから同定した。このmgl-1は、ショウジョウバエ癌抑制遺伝子l(2)glのマウスホモログで、Syntaxin1結合分子として同定されたTomosynとファミリーを形成した。Mgl-1も細胞内小胞系と骨格系のリンカー蛋白質として機能する知見を得た。 2)エズリン(ezrin)、ラディキシン(radixin)、モエシン(moesin)ファミリー蛋白質(以下ERM)の構造解析と、細胞内シグナル伝達における制御機構。 ERMファミリー蛋白質は、N末端側半分に細胞膜結合部位、C末端側にアクチン結合部位をもち、細胞膜とアクチンフィラメント間のクロスリンカーとして、PIP2やRhoにより制御され機能する。EMRファミリーの分子内機能ドメインやその生理作用が示唆されているが、実際の三次元構造と機能の相関は明らかではない。そこで示唆されているHead-to-tailでの分子内構造変化によるドメインのマスキングや、リン酸化による分子結合の変化を見るために、ERMの種々の機能ドメイン変異体をバキュロ発現系で作製した。低角度回転蒸着法での電子顕微鏡による形態構造観察を開始し、本年度この形態観察の解析が進められるまでになった。 3)構造解析及び生化学的蛋白質相互作用の解析のための、カイコ核多角体病ウイルス(BmNPV)を用いた高発現系の導入。本年度、ClopinC蛋白質で発現に成功し、4令幼虫1匹から1mgの蛋白を得ることが出来た。ClipinC蛋白質では可溶性分画に発現し、カイコ特有のメラニン化が見られ当初精製に難航したが、最近、メラニン化を防ぎ精製を進める系を確立することが出来た。カイコ数十匹を用いることで数十mgの蛋白を容易に得ることが出来ることを示せたとともに、ウイルスを細胞感染させた場合でもバキュロウイルス系より数倍の蛋白質を得ることに成功している。従来、広く進められているバキュロウイルス発現系を遥かに凌ぐ発現量を持つこのシステムでの生化学と構造解析の実績を作るとともに、汎用できる系としての確立を進めている。
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