研究概要 |
今年度は、新規低分子量SDF-1受容体アンタゴニスト候補分子10種類について、抗HIV活性を持つかどうかを、in vitro HIV/SHIV感染系で検討し、分子量約900のONO-4007が抗HIV/SHIV活性を持つことを同定した。抗HIV活性の背後にある分子メカニズムとして、低分子量化合物ONO-4007によるマウスT細胞株EL-4のin vitro CXCR4 down modulationを、human SDF-1-Igキメラタンパク質を用いるFACS解析で検討し、down modulationをみとめた。in vitro感染実験系での抗HIV/SHIV活性を調べるため、X4株であるNL432、IIIBや、R5X4株である89.6Pを、低分子量化合物ONO-4007またはコントロールのSDF-1タンパク質存在下、非存在下にヒトT細胞株(MT4,M8166,H9)に感染させ、経時的に培養液中逆転写酵素活性を測定し、低分子量化合物ONO-4007に用量依存的に抗HIV/SHIV活性をみとめた。今後、京大ウイルス研究所・速水博士らと共同で、大動物サルを用いて、低分子量化合物ONO-4007の抗SHIV活性がin vitroで発揮されるかどうかを検討するため予備的に、低分子量化合物ONO-4007のin vitroにおけるサルの抹消血球細胞における抗HIV/SHIV活性を検討し、用量依存的な抗HIV/SHIV活性をみとめた。また、アデノウイルスベクターを用いたサルにおけるSDF-1過剰産生系を作製した。
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