研究課題/領域番号 |
11161229
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
加藤 真吾 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (10177446)
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研究分担者 |
杉田 哲佳 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (00296766)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | HIV-1 / in vivo / PBMC / プロウイルス / 逆転写 / RNA-DNA hybrid / competitive PCR / 抗レトロウイルス療法 |
研究概要 |
ヒト体内におけるHIV-1の標的細胞のほとんどは休止期にある。休止期にある細胞はdNTP pool が小さいため、細胞内に侵入したHIV-1 RNAゲノムは逆転写の途中で止まった構造、すなわちRNA-DNA hybrid の状態で存在している可能性がある。しかし、RNA-DNA hybrid を定量することは非常に困難であるため、この問題に関する研究はあまり行われていない。そこで、本研究ではまず、HIV-1 RNA-DNA hybrid を迅速かつ正確に定量できる方法を開発し、その方法を用いて感染者の末梢血単核球(PBMC)中のHIV-1 RNA-DNA hybrid を定量し、HIV感染症の進行や抗レトロウイルス療法によってHIV-1 RNA-DNA hybrid のレベルがどのように変化するかを調べた。 方法を簡単に述べると、感染者のPBMCから全DNAを精製し、制限酵素Mse Iで切断後、切れ残ったHIV-1 RNA-DNA hybrids をcompetitive nested PCR法によって定量した。この方法でRNA-DNA hybrid が選択的に検出できることは、HIV-1 dsDNA を用いた場合はHIV-1 DNA の増幅が見られないこと、またHIV-1 DNAの逆転写酵素産物をRnase Hで処理してからMse Iで切断した場合もまったくHIV-1 DNA の増幅が見られないことで証明した。 この方法を用いて5例の感染者(そのうちの3例は抗レトロウイルス療法開始前後の2検体)におけるPBMC中のHIV-1 RNA-DNA hybridを定量した。その結果、抗レトロウイルス療法を行っていない場合、全HIV-1 DNA中のRNA-DNA hybrid の割合は18%から67%であった。この割合はCD4細胞数と相関がなかった。また、治療開始後、RNA-DNA hybrid のレベルが大きく低下していた。これらの結果から、in vivo におけるHIV-1感染は、in vitro における実験とは大きく異なり、逆転写の途中で止まっている状態がかなりの割合で存在することが分かった。また、HIV-1 RNA-DNA hybrid のレベルが血漿中の感染性ウイルスのレベルと関連があることが示唆された。すなわち、HIV-1 RNA-DNA hybrid の定量値はウイルスの活動を示す新しい指標となる可能性があると考えられる。
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