研究概要 |
ナチュラルキラー(NK)細胞の分化と機能獲得に関してはその多くが未だ謎に包まれている.NK細胞はヒト末梢血中に5%程度存在し,前感作なしに異種細胞や自己の異常細胞を破壊する,いわゆる自然免疫の一翼を担う細胞である.本研究の目的は,KARの活性化シグナル伝達を司るKARAP分子の欠損マウス,機能未知なgp49分子欠損マウス,そしてFcRg鎖欠損マウスにおけるNK細胞の分化状態および標的細胞破壊機能を調査し,KAR分子群,FcR分子群,gp49分子群とNK細胞の分化との関係を解明する.本年度はgp49B欠損マウス,KARAP欠損マウスの作製を完了し,解析を開始した.また各種FcR欠損マウスにおける胎児胸腺中のNK細胞とT細胞の分化について,胎児胸腺培養系を構築し,FcRに対する抗体を添加した際のNK細胞とT細胞の分化の変化を追跡できるようになった.FcRがNK細胞の分化に影響を及ぼしていることを示唆するデータが得られた.gp49B欠損マウスについてもこの培養系を応用し,興味深い知見を得た.
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