研究課題/領域番号 |
11162209
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒川 峰夫 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80312320)
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研究分担者 |
高橋 宗春 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | E2A-HLF / 急性リンパ芽球性白血病 / トランスジェニックマウス / アポトーシス |
研究概要 |
E2A-HLFは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)で見られるt(17;19)(q22;p13)転座において形成される融合遺伝子である。転座の結果、E2Aの転写活性化ドメインとHLFのDNA結合ドメインおよび二量体化ドメインが融合する。E2A-HLF融合遺伝子産物の生物学的機能を調べる目的で、我々はE2A-HLFを高発現するトランスジェニックマウスを作成した。E2A-HLFの発現には、リンパ球系に分化する細胞で活性化される免疫グロブリンのプロモーター、エンハンサーを用いた。E2A-HLFトランスジェニックマウスは、胸腺と脾臓の発達が障害され、感染に対する抵抗力が減弱していた。胸腺細胞の数は減少し、TUNEL染色にて、多くがアポトーシスを起こしていることが観察された。脾臓のリンパ球も減少し、フローサイトメトリーやin vitroコロニー形成法にて、B細胞の成熟が分化の初期段階で障害されていることが明らかとなった。これらの結果より、E2A-HLFの発現は、in vivoでT細胞のアポトーシスとB細胞の成熟障害を引き起こすことが明らかとなった。E2A-HLFトランスジェニックマウスに見られる易感染性は、これらの障害によって起こされた免疫不全が原因と考えられる。さらにE2A-HLFトランスジェニックマウスの中には、急性白血病を発症するものが観察された。これらの白血病はその白血病細胞の表面マーカーとDNA再構成より、急性T細胞性白血病と考えられた。したがってE2A-HLFトランスジェニックマウスの一部において、E2A-HLFを発現したリンパ球にさらに付加的異常が起こった結果、白血病の発症に至ったと考えられる。
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