研究課題/領域番号 |
11162226
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪府立母子保健総合医療センター研究所 |
研究代表者 |
長澤 丘司 大阪府立母子保健総合医療センター研究所, 免疫部門, 研究員 (80281690)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1999年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | ケモカイン / 骨髄 / Bリンパ球 / 造血 / ホーミング |
研究概要 |
造血は主役となる血球細胞が、各分化段階での細胞表面分子、細胞内の転写因子を含めた分子レベルでの研究が進んでいることから、発生各過程の分子機構の研究に最も適したシステムのひとつである。我々は、これまでケモカインファミリーの1つSDF-1/PBSFとその受容体CXCR4が、胎児の生存、胎生期のBリンバ球の生成、骨髄での骨髄球系造血、心室中隔形成、胃腸管を栄養する大型の血管の形成に必須であることを発見してきた。しかし、SDF-1/PBSF、CXCR4が血管形成にも重要であることが明らかとなったことにより、SDF-1/PBSFの造血における作用が造血臓器の血管内皮細胞など微小環境の形成を介している可能性が無視できなくなり、成体の造血における機能も不明であった。そこで我々は、血球上のCXCR4の機能を明らかにするために、正常マウスとSDF-1/PBSF欠損マウス、CXCR4欠損マウスの胎児肝造血細胞を致死量放射線を照射し内因性の造血能を欠失させた成体正常マウスに移植し、移植されたキメラマウスの造血の再構築を解析した。SDF-1/PBSF欠損マウス由来の血球細胞は正常マウスに移植されると正常のSDF-1/PBSFよりの信号を受け取ることができるが、CXCR4欠損マウス由来の血球細胞は、これができない。結果は、SDF-1/PBSF欠損マウスの胎児肝造血細胞を移植されたキメラマウスは正常マウスの胎児肝造血細胞を移植されたキメラマウスと同様の造血の再構築を示したが、CXCR4欠損マウスの胎児肝造血細胞を移植されたキメラマウスでは、骨髄のBリンパ球、骨髄球系細胞、胸腺のTリンパ球、脾臓のBリンパ球の再構築が有意に低下していた。特に、骨髄のBリンパ球は骨髄の他の系列の細胞や、脾臓のBリンパ球と比較して、より著明に減少していた。これより、血球細胞上のCXCR4はリンパ球系、骨髄球系造血の成体での再構築に必須であることが明らかとなり、とくに成体のBリンパ球の生成においては骨髄特異的に作用していることが示唆された。
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