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西洋世界における古典の伝承と解釈

研究課題

研究課題/領域番号 11164264
研究種目

特定領域研究

配分区分補助金
審査区分 人文・社会系
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

中川 純男  慶應義塾大学, 文学部, 教授 (60116168)

研究分担者 高橋 通男  慶應義塾大学, 言語文化研究所, 教授 (00012500)
西村 太良  慶應義塾大学, 文学部, 教授 (90164590)
研究期間 (年度) 2001 – 2002
研究課題ステータス 完了 (2002年度)
配分額 *注記
11,600千円 (直接経費: 11,600千円)
2002年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2001年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2000年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1999年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
キーワードホメーロス / ヘレニズム / ストア派 / 言語理論 / 古典解釈 / 古典文献学 / 中世写本 / スコリア / アリュージョン / アリストテレス / スンマ(大全) / ラテン西欧
研究概要

ヘレニズム期の哲学は、エピクロス派、ストア派においてとりわけ顕著であるが、独自の言語理論あるいは言語の起源についての考察にもとづきつつ、存在論ないし世界観を構築している。なぜなら、それぞれの立場から主張される言語理論は、独自の認識論と表裏一体をなし、存在論の基礎となっているからである。このことは、古典期のギリシア哲学における言語と認識との関係と比較するとき、きわめて特長的である。なぜなら、古典期のギリシア哲学において、たとえばプラトンは、世界に直接関わる認識を感覚認識と呼んで知性認識と区別し、命題形成(存在把握)は感覚に依存しない能力である知性の認識であると考えているし、アリストテレスも、学的知識に必要な、定義の把握や判断の形成は、やはり知性の働きであると考えているからである。存在論を構成するためには、たんなる感覚認識では不十分であると彼らが考えていることは明らかである。ところが、エピクロス派やストア派は、世界に直接関わる感覚的な認識がすでに命題的構造をとった認識であり、言語理論がただちに存在論に対応すると考えている。なぜなら、世界そのものが言語的な構造を有しており、感覚認識はその世界の構造を写し取るものと考えられているからである。医学・生物学、天文・気象学、地質学などの知識は、世界そのものが一定の規則性・法則性を具えていることを確信させ、自然についての認識は自然の法則性の認識を含んでいると確信させたものと思われる。認識と世界のあり方との対応を説明しようとするとき、感覚認識が世界の規則性を写し取っていると考えることは、いわばもっとも無理のない理論であったと思われる。このようなヘレニズム期の哲学の世界観は、伝統的な古典解釈に新たな視点を導入することになったように思われる。なぜなら、自然の規則性の認識は、自然の経年的変化の自覚を伴い、古典作品は、過去の自然現象や現在とは異なっていた自然界、人間界の記録であると見なされたからである。それゆえ、ヘレニズム期の哲学諸派は古典解釈、とりわけホメーロスとヘシオドスの作品の中に、現在とは異なった何らかの事態の記録を読みとろうとしたのである。

報告書

(4件)
  • 2002 実績報告書
  • 2001 実績報告書
  • 2000 実績報告書
  • 1999 実績報告書
  • 研究成果

    (21件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (21件)

  • [文献書誌] Sumino Nakagawa: "Recollection and Forms in Plato's Phaedo"Hermathena. 169. 57-68 (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 中川純男: "認識とことば-アウグスティヌスにおけることばの概念"『西洋精神史における言語間の諸相』慶應義塾大学言語文化研究所. 31-46 (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 西村太良: "コンスタンティノス・シモニディスの「イーリアス」写本をめぐる諸問題-Thomas Phillipps Ms138771"『西洋精神史における言語間の諸相』慶應義塾大学言語文化研究所. 113-127 (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 高橋通男: "ホメーロスの言葉と詩人たちの解釈"『西洋精神史における言語間の諸相』慶應義塾大学言語文化研究所. 91-111 (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 高橋通男: "ヘレニズムの詩におけるアリュージョンとホメーロス研究5-アリスタルコス以前のホメーロス文献学"慶應義塾大学言語文化研究所紀要. 33. 93-118 (2001)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 中川 純男: "認識とことば-アウグスティヌスにおけることばの概念"中川純男編「西洋精神史における言語観の諸相」 慶応義塾大学出版会刊. 129-148 (2002)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書
  • [文献書誌] 西村 太良: "コンスタンティヌス・シモニデスのイーリアス写本をめぐる諸問題I"中川純男編「西洋精神史における言語観の諸相」 慶應義塾大学出版会刊. 113-128 (2002)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書
  • [文献書誌] 高橋 通男: "ヘレニズムの詩におけるアリュージョンとホメーロス研究5-アリスタルコス以前のホメーロス文献学(一)-"慶應義塾大学言語文化研究所紀要. 33. 93-108 (2001)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書
  • [文献書誌] 高橋 通男: "ホメーロスの言葉と詩人たちの解釈"中川純男編「西洋精神史における言語観の諸相」 慶応義塾大学出版会刊. 91-111 (2002)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書
  • [文献書誌] 中川純男: "イデアと存在-『パイドン』の想起説"古代哲学研究. 第31号. 1-14 (1999)

    • 関連する報告書
      2000 実績報告書
  • [文献書誌] 西村太良: "αωτοξRevisited-Some Aspects of Pinder's Vocabularies"古典古代における語彙と語法、慶應義塾大学言語大学文化研究所刊. 47-77 (2000)

    • 関連する報告書
      2000 実績報告書
  • [文献書誌] 高橋通男: "ヘレニズムの詩におけるアリュージョンとホメーロス研究3"慶應義塾大学言語文化研究所紀要. 第31号. 55-74 (1999)

    • 関連する報告書
      2000 実績報告書
  • [文献書誌] 高橋通男: "叙事詩における言語表現の継承と模倣-Πληγαδεξ(A.R.2.549-597)を例としして"古典古代における語彙と語法、慶應義塾大学言語文化研究所刊. 83-119 (2000)

    • 関連する報告書
      2000 実績報告書
  • [文献書誌] 中川純男: "存在と知-アウグスティヌス研究"創文社. 291 (2000)

    • 関連する報告書
      2000 実績報告書
  • [文献書誌] 中川純男: "ゼノン他 初期ストア派断片集1"京都大学学術出版会. 398 (2000)

    • 関連する報告書
      2000 実績報告書
  • [文献書誌] 中川 純男: "イデアと存在-『パイドン』の想起説"古代哲学研究. 31号. 1-14 (1999)

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      1999 実績報告書
  • [文献書誌] 中川 純男: "古代・中世の倫理思想-原理的考察"有福孝岳編『エチカとは何か-現代倫理学入門』. 4-23 (1999)

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書
  • [文献書誌] 中川 純男: "アリストテレスと西欧中世"古典学の再構築. 5号. 50-51 (1999)

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書
  • [文献書誌] 西村 太良: "αWTOS Revisited - Some Aspects of Pinder's Vocaburaries"古典古代における語彙と語法. 47-77 (2000)

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書
  • [文献書誌] 高橋 通男: "ヘレニズムの詩におけるアリュージョンとホメーロス研究3"慶応義塾大学言語文化研究所紀要. 31号. 55-74 (1999)

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書
  • [文献書誌] 高橋 通男: "叙事詩における言語表現の継承と模倣"古典古代における語彙と語法. 5-45 (2000)

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書

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公開日: 1999-04-01   更新日: 2018-03-28  

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