研究課題/領域番号 |
11165218
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
岩佐 義宏 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (20184864)
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研究分担者 |
安 正宣 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (10249956)
AHN J-s School of Materials Science, Japan Advanced Institute of Science and Technology, Research Associate
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
43,900千円 (直接経費: 43,900千円)
2000年度: 33,300千円 (直接経費: 33,300千円)
1999年度: 10,600千円 (直接経費: 10,600千円)
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キーワード | フラーレン / ナノチューブ / インターカレーション化合物 / フラーレンダイマー / 反強磁性 / 分子軌道秩序 / 誘電応答 / カーボンナノチューブ / 計算機実験 / 力学的性質 / インターカレーション / ラマン散乱 / 光物性 |
研究概要 |
本研究では、カーボンナノチューブとフラーレンについて以下の知見を得た。 (1)カーボンナノチューブへのアルカリ金属インターカレーション過程 カーボンナノチューブは、リチウムイオン電池吸蔵能が高く、リチウム電池負極材料への応用が期待されている。しかしながら、x線構造解析法がナノチューブの場合有効でないため、アルカリ金属のインターカレーション過程はこれまでほとんど明らかにされてこなかった。本研究ではラマン散乱、赤外吸収、x線光電子分光法などの分光法を用いて、ナノチューブ束のインターカレーション過程をあきらかにした。それによると、まずチューブの三角格子の隙間に速やかに挿入され、その後、2本のナノチューブ間に挿入される。ここまではアルカリ金属組成は連続的に変化するが、そこから、組成が不連続に増えてKC_8程度になる。これ以降さらに連続的に組成は増えてゆく。 (2)フラーレンC_<60>反強磁性体における分子配向と磁気構造の相関 アルカリ金属をドープしたC_<60>超伝導体A_3C_<60>に、アンモニアをドープして(NH_3)A_3C_<60>なる物質を系統的に新しく合成し、これらの物質がすべて反強磁性体であることを見出した。(NH_3)A_3C_<60>は、立方晶をわずかにひずませた斜方晶であり、このため局在モーメントがC_<60>分子上に局在する。しかも、低温での磁気構造と結晶構造を粉末試料で可能な限り精密に決定したところ、C_<60>分子が向きをそろえて並ぶと磁気的には反強磁性相互作用を示し、C_<60>分子が向きを直交して並ぶと強磁性的な相互作用が得られることをあきらかにした。 (3)フラーレン・希土類金属インターカレーション化合物中の新しいダイマー構造 上記化合物の探索を行った。その中で特に安定な相としてSm_3C_<70>を見出し、その電子密度レベルにいたる精密構造を明らかにした。それによると、2つのC_<70>分子がSmによって架橋された二量体構造を持つことが明らかになった。しかも、この二量体構造は、従来のフラーレンが直接結合したものに比べ極めて安定で、850Kまでその構造を保つことを明らかにした。 (4)内包フラーレンLa@C_<82>の薄膜の誘電率 La@C_<82>薄膜を作製し、その誘電率をはじめて測定した。室温での誘電率は約40であり、C_<60>の4.4より一桁程度大きいことを明らかにした。これは分子固有の電気双極子が、分子回転に伴って交流電場に応答できるという、金属内包フラーレン分子特有の現象である。しかも、405Kには誘電率のピークを伴う相転移現象が発見された。熱物性測定の結果から、この相転移は分子の回転の凍結を伴った1次相転移であることも明らかにされた。このように、金属内包フラーレン結晶では、分子回転の自由度による誘電的な機能を有していることが明らかになった。
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