研究概要 |
C_<60>-TDAEの強磁性発見以来,C_<70>-TDAEの磁性については多くの研究があるが,構造研究はほとんどなく,理由なくこれまでC_<60>-TDAEに準ずるものと考えられ,常磁性体として扱われてきた.C_<70>はフラーレン系ではC_<60>にならぶ得やすい分子であり,この違いを明らかにすることは非常に重要である.強磁性を発現する機構と同時に,強磁性が得られない理由も議論する必要がある.C_<60>-TDAEについては最近低温構造が決定されたが,我々研究では,C_<60>-TDAEについても,まだ構造的に解明すべき点が多くある. 同じ製法でも,C_<70>-TDAEの系は作成過程で溶媒をとりこんだ構造となることが我々の研究で明かとなり,国際会議ISMN2001で報告した.この系は,様々な物性をこれまでの研究結果と比較すると,C_<70>-TDAEとされてきたものと同じものと思われる.したがって,この系のC_<60>-TDAEとの対比研究はふりだしにもどったことになる.溶媒の含まないC_<70>-TDAEを作成できれば,C_<60>-TDAEと同様な強磁性の発現の可能性は依然として残されていることになる.また最近我々は,C_<60>-TDAEの系で,TDAEが磁性を示さない理由を解明し報告の準備中である.
|