• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

アミノ酸置換による蛋白質中の化学反応場の制御

研究課題

研究課題/領域番号 11166204
研究種目

特定領域研究(A)

配分区分補助金
審査区分 理工系
研究機関弘前大学

研究代表者

斎藤 稔  弘前大学, 理工学部, 教授 (60196011)

研究期間 (年度) 1999
研究課題ステータス 完了 (1999年度)
配分額 *注記
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
キーワードアミノ酸置換 / タンパク質 / 酵素反応 / 分子動力学シミュレーション / 自由エネルギー摂動法
研究概要

タンパク質分子は、特定の基質分子を正確に認識することができ、更に、特定の化学反応を効率良く引き起こすことができる。その理由は、タンパク質分子が特異な立体構造をとることによって、分子認識や化学反応に必要な分子場を作り出しているためだと考えられている。タンパク質分子を構成するアミノ酸が、タンパク質中にどのような仕組みで分子場を構成しているかを明らかにするために、分子動力学シミュレーションに基づくアミノ酸置換法(Computational Mutagenesis)によって研究を行った。研究の第一段階として、タンパク質分子が基質分子を認識する機構を解明することにした。すなわち、タンパク質分子が基質分子と接近して複合体を作る際の結合自由エネルギーが、基質分子の違いによってどの程度変化するかを定量的に求める。具体的な計算対象として、DNA結合タンパク質であるラムダリプレッサー(λ-repressor)とDNAとの複合体を選んだ。このタンパク質は、DNAの特定の塩基配列を認識して結合する。それらの塩基配列の一部であるThimine(T)をUrasil(U)に変更すると、結合自由エネルギーが1.8kcal/mol減少して結合が弱くなることが測定で明らかになっている。計算で得られた結合自由エネルギー変化は1.3kcal/molであり、フィッティングパラメターを含まないにもかかわらず実験値の1.8kcal/molに近い値になった。これによって、計算の信頼性が確証された。更に、自由エネルギー成分分析によって、λ-repressorがTとUのわずかな違い(メチル基と水素原子の違い)を認識できる理由を明らかにした。すなわち、λ-repressorは、結合する前に水に露出していて不安定な状態にあるTのメチル基を、λ-repressorのアミノ酸が取り囲んでvdW相互作用で安定化させていることがわかった。以上の研究から、分子動力学シミュレーションとComputational Mutagenesisにもとずく自由エネルギー計算によって、タンパク質分子と基質分子との結合自由エネルギー変化が定量的にもとまることが示された。また、自由エネルギー成分分析によって、タンパク質分子が基質分子であるDNAのメチル基を認識する機構を物理化学的に解析できた。更に、この計算方法を抗体タンパク質分子が抗原分子を認識する機構の解明および酸素反応の解析に適用する計画である。

報告書

(1件)
  • 1999 実績報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] M.Saito: "Molecular dynamics model structures for the molten globule state of α-lactalbumin"Protein Engineering. 12・12. 1097-1104 (1999)

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書
  • [文献書誌] 斎藤 稔: "分子動力学法プログラムAMBERとBarnes-Hut tree codeの並列化による高速化"情報処理学会論文誌. 40・5. 2142-2151 (1999)

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書
  • [文献書誌] H.Kono: "Stability analysis for the cavity-filling mutations of Myb DNA-binding domain by free energy calculations"PROTEINS. 38. 197-209 (2000)

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書
  • [文献書誌] M.Saito: "Cavity filling mutations enhance protein stability by lowering the free energy of native state"J. Phys. Chem.. (印刷中). (2000)

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書

URL: 

公開日: 1999-04-01   更新日: 2018-03-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi