研究課題/領域番号 |
11166244
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
山辺 信一 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (00109117)
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研究分担者 |
山崎 祥子 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (50182481)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | シクロプロパン化 / ケイ素1、2-転位 / ルイス酸 / 分子軌道計算 / [2+1]環化付加 / セレノシリルエテン |
研究概要 |
有機合成化合物において重要であるシクロプロパン環形成の反応機構を解明することは大変興味が持たれる。我々は、1-セレノ-2-シリルエテン(1)と電子求引性オレフィンのルイス酸存在下における反応でケイ素の1,2-転位を伴った新規な[2+1]環化付加反応について研究を行なってきた。シクロプロパン化とシクロブタン化の選択性を解明するために、素過程の解析が必要であり、ルイス酸金属を含む反応中間体の理論計算による構造最適化および反応経路の探索を行った。構造最適化はSCRF溶媒効果を含んだB3LYP法で行なった。6-31G^*と3-21G^*からなる混合型基底関数を用いた。 塩化スズ存在下の1とビニルケトンとの反応のモデルとして1-メチルセレノ-2-シリルエテン1aとアクロレインの計算を行なった。付加段階は、有効な軌道相互作用する椅子型遷移状態を通ることが明らかになった。生成した双性イオンからC-C結合などの単結合の回転が起こる。次に、スズが6配位になるようにSeと相互作用をする環状双生イオンから、ケイ素1,2-転位とシクロプロパン閉環が協奏的に起こることが判明した。その活性化エネルギーは+1.9kcal/molで有利な反応である。シクロブタン化の経路はシクロプロパン化に比べ、活性化エネルギーが高かった。一方、1とメチレンマロン酸エステルとの反応では、ルイス酸としてZnBr_2やZnI_2が適している。1aとCH_2=C(CHO)_2とのZnBr_2存在下の反応をモデルとし計算した。シクロプロパン化に先立つ双生イオンでは、Se-Znの配位が見られ、亜鉛は4配位の正四面体型をとっている。この中間体からケイ素転位と同時に閉環が起こる。活性化エネルギーはSnCl_4触媒の反応と同様に、シクロブタン閉環より低い。 以上、セレンとルイスの酸金属の引力がシクロプロパン環形成の引き金となる新規な有機化学の反応機構を見い出した。
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