研究課題/領域番号 |
11166255
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
橋本 健朗 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (40202254)
|
研究期間 (年度) |
1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | アルカリ金属 / 溶媒和電子 / 溶媒和ダイナミックス / ab initio MO-MD法 / フェムト秒レーザー分光 |
研究概要 |
金属の溶解とそれに伴う溶媒和電子生成の分子論的過程にどのようなダイナミックスが関与しているかを、ナトリウム(Na)原子の水和クラスターをモデル系として理論的に研究した。非経験的分子軌道法で計算した核座標に対するエネルギー勾配を利用した分子動力学法(ab initio MO-MD)のプログラムを開発し、水分子が1つまたは2つ結合したNa原子負イオンからの電子脱離後の、中性の基底状態でのダイナミックスに応用した。水が1分子の場合は水が水素をNaに向けた負イオン水和構造は、中性状態では解離極限によりエネルギーが高いため水とNaが解離する。一方水が2分子であると水とNa負イオンの1:1錯体に第2の水が水素結合した構造が安定で、この水素結合のため垂直電子脱離した後も解離極限よりエネルギーが低い。第2の水分子は第1の水の解離を抑制する。電子脱離後分子間振動を数回くり返し約700フェムト秒(fs)で第1の水は酸素(O)をNaに向けるようになる。さらに700-1400fsの間Na-O結合の伸縮などをくり返し、1400fs以降は徐々に第2の水がNa-O結合した1:1錯体の遠くを回る状態へ移っていく。電子状態は、約700fsで原子的性質を持つ状態から分極して不対電子が広がった状態へ急に移る。その後分子間振動に依るポテンシャルエネルギーの振動を経て、約1400fs以降は第2の水分子から摂動を受けた1:1錯体の状態へ収束する。これに伴い3^2P(Na)<-3^2S(Na)型遷移のエネルギーは700fsを境に約0.5eV急減し、振動をくり返しながら1400fs以降約1.6eVへ収束してゆく。この変化をフェムト秒スケールで追う分光実験を行えば1中心イオン対状態の生成ダイナミックスを観測できると予測した。
|