研究課題/領域番号 |
11166276
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
佐藤 啓文 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (70290905)
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研究分担者 |
平田 文男 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (90218785)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 遷移金属 / 溶液内化学過程 / RISM-SCF / MCSCF法 / 生体内分子 / 非経験的予測 / 化学シフト / 量子化学 / 統計力学 |
研究概要 |
本研究課題では、遷移金属を含む生体内分子における化学反応を分子科学的な立場から理解するための理論手法の構築を最終的な目的としている。 NMR(核磁気共鳴法)や種々の分光学的手法の開発により、実験的に生体内分子の構造や反応過程を分子レベルで観測・追跡することが可能になってきている。理論の立場から、これら生体内過程を理解する上で鍵となるのは、溶媒(殆どの場合は水)の取り扱いである。多くの生体内分子は、溶媒分子の助けを借りてその構造を保持していることからも分かるように、生体内分子の分子内構造(分子構造・電子構造など)と周辺の溶媒との分子間相互作用は互いに強くカップルしており、これらを同時に取り扱える理論が不可欠である。これまで我々は、分子性液体の統計力学理論であるRISMと非経験的分子軌道法を組み合わせた手法(RISM-SCF/MCSCF法)が、溶液内化学過程を理解する上で極めて有効であることを示してきた[1]。 本年度は、(1)実験結果とのより直接的な比較を行うための方法論の整備、(2)温度・密度といった巨視的物理量が化学反応や分子レベルの事象にどの様な影響を与えるか、(3)遷移金属を含む系での方法論の有効性について、検討を行った。蛋白質が熱変性したり、温度や密度に依存して液体構造が変化していることは良く知られている。しかし、これらの熱力学状態の変化が分子の微視的な状態(分子構造や電子構造)や化学過程にどのような変化をもたらすかについては未だ充分に理解されているとは言い難い。また、巨視的物理量である温度・密度をパラメータとして反応過程の詳細を知ることは、反応制御を考えて行く上でも有用である。(2)はこうした背景によっている。(3)に関しては、多くの生体内分子中で遷移金属が生理活性に重要な役割をしているが、比較的小さな遷移金属錯体についても溶液中における分子レベルの情報が殆どなかった。
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