研究課題/領域番号 |
11167222
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
竹山 春子 東京農工大学, 工学部, 助教授 (60262234)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ナノスフェア / 磁気微粒子 / アンカータンパク質 / 抗体固定化担体 / リポソーム / 有機薄膜 |
研究概要 |
生体高分子の固定化担体としてのナノスフェアは、表面積、自由度における優位性から測定の高感度化、反応時間の短縮を達成するために効果的に利用される。しかしながら物性評価が困難であり、ハンドリングが煩雑であることから、その利用性は極めて制限を受ける。特に、磁気的に容易に運動制御できる磁性粒子を利用する場合、分散性を保持し、かつ高い凝集能を保つことは困難である。そこで、磁性粒子表面にpH、イオン強度により荷電を制御できる有機薄膜を融合することによって、自己分散-凝集制御が可能な磁性粒子の開発を目的とした。 磁性細菌粒子は粒径50〜100mm、単磁区構造を有するマグネタイトより成る磁気微粒子である。またその表面は、ホスファチジルエタノールアミンを主成分とする脂質二重膜で覆われている。この磁性細菌粒子をモデル粒子として、分散性、抗体固定化条件について検討を行った。この性質を利用し、抗体を固定化した磁性細菌粒子の作製とイムノアッセイの高感度化に関する研究が行われている。その結果、粒子分散性は4〜7のpH変化に伴うアミノ基の極性に依存し、pH7において磁性細菌粒子の表面が負電荷を帯び、分散性が保持されることが示唆された。 次に、人工的に有機薄膜を導入した磁気微粒子をDNA・抗体の固定化担体としたときの分散性や検出感度について検討を行った。DNAの担体として用いる場合、表面がマイナスにチャージしているため静電的吸着量は少量である。そこで、脂質2重膜を取り除いた磁性細菌粒子上に、1〜3つのアミノ基を有するシランカップリング剤を用いて被覆することにより表面の改質を行い、DNAの吸着量について比較した。その結果、コーティングしたシランカップリング剤のアミノ基の数が多くなるにつれDNAの吸着量の増加が確認された。さらに、同様のシランカップリング剤を用いて表面を改質した人工磁気微粒子と比較した結果、磁性細菌粒子を用いた場合、DNAの吸着量が約2倍多いことが示された。また、DNAが結合した磁気微粒子を磁気回収後に、等容量の2M NaClに懸濁したときに溶出されるDNA量について評価した結果、人工の磁気微粒子と比較して、磁性細菌粒子を用いたときには、顕著な溶出がおきていることが認められた。さらに、シランカップリング剤であるγ-aminopropyltriethoxysilane(γ-APTES)を用いて人工磁気微粒子の表面改質を行った。表面改質を行った場合、何も改質を行わない場合と比較し、凝集が起こりにくいことが示された。さらに、この粒子にgltaraldehyde(GA)、bis(sulfosuccinimidyl)suberate(BS3)を用いて架橋したところ、分散性は安定に保たれていることが示された。このような抗体固定化磁気微粒子を用いて、環境ホルモンとして問題視されているビスフェノールAの検出を行ったところ、磁性細菌粒子と比較し検出限界は劣るものの感度の面で優れていることが示された。
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