研究課題/領域番号 |
11167237
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
辻 彰 金沢大学, 薬学部, 教授 (10019664)
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研究分担者 |
玉井 郁巳 (玉井 郁己) 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (20155237)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2000年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1999年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | カルニチン / トランスポーター / ゼノバイオティクス / テトラエチルアンモニウム / 尿細管再吸収 / 尿細管分泌 / 生体防御 / シンクロナイゼーション / 有機カチオン / 有機アニオン / ペプチド / 遺伝子クローニン / β-ラクタム抗生物質 / ニューキノロン抗菌薬 |
研究概要 |
研究代表者等がこれまでにクローニングしたOCTN2は、全身性カルニチン欠損症の原因遺伝子である。本年度我々はマウスよりOCTN2のホモログとして、OCTN1およびOCTN3のクローニングを行い、生理的物質の維持とゼノバイオティクスの排除への関与について検討を行った。 OCTN1、OCTN2、OCTN3はいずれも腎臓に共通して発現が認められたが、OCTN3は精巣でもっとも高い発現を示した。各遺伝子産物について、カルニチンおよび有機カチオン性ゼノバイオティクス(TEA)の取り込み活性を測定した結果、OCTN1およびOCTN2はNa^+依存的に、OCTN3はNa^+非依存的にカルニチンを輸送された。またOCTN1およびOCTN2はTEAを輸送したのに対し、OCTN3は輸送しなかった。よって遺伝子の存在がマウスのみに確認されているOCTN3は、カルニチンに対して特異性が高い特徴的なトランスポーターであることが明らかとなった。OCTN3のカルニチン輸送はNa^+非依存的でその発現が精巣に特に強く認められることから、生理的には精巣での役割が主であると考えられた。OCTN1のカルニチン輸送活性はOCTN2、OCTN3と比べ非常に低いことから、OCTN1が有機カチオントランスポーターとして重要な役割を持つと考えられた。OCTN2はカルニチンおよびTEAのいずれも効率的に輸送するが、腎尿細管における輸送の方向性は、カルニチンがNa^+依存的に再吸収方向に輸送されるのに対して、TEAは分泌方向の輸送となる。すなわち、OCTN2は生体に必要なカルニチンの再吸収と生体異物である有機カチオンの分泌に働く多機能性トランスポーターであることが示された。これらの結果は、OCTN2によるカルニチンのinfluxとTEAのeffluxがシンクロナイズしていることを示すものであり、OCTN2が生理的物質の維持とゼノバイオティクスの排除とがシンクロナイズした生体防御機構の一部として機能している可能性が考えられた。
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