研究課題/領域番号 |
11167243
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宝谷 紘一 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80025444)
|
研究分担者 |
瀧口 金吾 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20262842)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2000年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1999年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | リポソーム / 薬物輸送 / 形態変換 / 界面活性剤 / 脂質分子膜 / 生体膜 / 顕微鏡 / トポロジー |
研究概要 |
我々は生体膜のモデルとしてリポソームを用いて、その分裂、融合、穿孔、小胞の多重膜化などの劇的なトポロジー変換の分子メカニズムを明らかにし、その機構を利用して、柔軟なる構造安定性と高機能性の制御能をもつ薬物輸送系の創成を試みた。 1、両親媒性ペプチドによるリポソームの多重膜化。膜小胞の一時的穿孔や融合はへモアグルチニン(HA)やメリチン由来の両親媒性ペプチドでも起こることが報告されている。そこで両親媒性のペプチドE5とK5(HAのN端の20アミノ酸残基のアナログ)を合成した。その結果、これら全てのペプチドは1枚膜のリポソームを多重膜化する活性を持つことが分かった。まず、輝度が著しく上昇した部位がそのリポソーム上に現れ、周囲の膜が協奏的に巻き込まれるようにしてリポソームが縮小してゆき、最終的に輝度の高い多重膜ののリポソームに変化した。多重膜巨大リポソームは薬物の安定な輸送には不可欠であるが、両親媒性ペプチドを使用する今回の戦略は極めて有力である。 2、リポソームの表裏反転。リポソームの場合は脂質組成を自由に変えることが可能なので、プラス電荷を持つ脂質を組み込んだリポソームを調製して、界面活性剤の影響を調べた。界面活性剤の方もプラス電荷を持つものを用いた場合は、一時的にリポソームが裂けて表側と裏側が反転し、再び閉じて球になる。しばらくするとまた表裏反転を起こし、元の表裏を持つ小胞にもどる。この過程を繰り返しながら縮小していった。この場合は脂質二重層膜の外側層からのみ脂質分子が取り除かれて、内側層に比べて外側層の面積が不足してリポソーム膜の曲率が反転するためだと考えられる。内部リポソーム中の貴重な薬剤を外部リポソームで保護しながら、必要時に内部リポソームを放出する新しい輸送系への発展が期待される。
|