研究課題/領域番号 |
11167246
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
垣内 隆 京都大学, 工学研究科, 教授 (20135552)
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研究分担者 |
保原 大介 京都大学, 工学研究科, 助手 (60303864)
山本 雅博 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60182648)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2000年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1999年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 液液界面 / 電気化学的不安定性 / 電気化学的安定性 / エマルション / 界面活性イオン / アルキルスルフォン酸 / 自発的にエマルション生成 / なだれ型融合 / なだれ型移動 / イオン移動 / AOT / スパイク / マラゴニ効果 / W / Oエマルション |
研究概要 |
1)帯電した液液界面の電気化学的不安定性 エマルション粒子の油水界面へのなだれ的融合を調べるための実験系としてAerosol-OT(AOT,dioctyl sodium sulphosuccinate)を用い、分極性界面近傍に形成されるエマルションの生成メカニズムと、融合条件を検討してきた。その過程で、エマルションが自発的に形成されるメカニズムが未解明であることがわかったので、この点を詳しく検討した。その結果、帯電した液液界面の安定性に関する一般的基準を明確にすることが出来た。これは、本研究の目的のみならず、界面化学一般に重要な新概念であり、液膜の非線形振動現象など、本特定研究の他の研究分野にも新しい考え方を提案するものである。 【電気化学的不安定性の理論】液液二相界面におけるイオン性界面活性剤など界面活性なイオンの吸着は、二相間の界面電位差Eに強く依存する。吸着の電位依存性に対する熱力学的考察により、そのイオンの標準イオン移動電位を中心としたある特定の電位領域で最大となり、その外側では吸着は起こらないことを示すことができる。それに対応して、吸着が生じる電位領域では界面張力γが低下する。一方、γは界面の両側にできる電気二重層のために界面活性剤の吸着がない場合でも、電気毛管極大を頂点としてEに応じて放物線状(-coshx状)に変化する。これらの二つの寄与が加算的であると考えて界面活性なイオンが存在する場合のγ vs.E曲線(電気毛管曲線)を求めた。 電気毛管曲線は界面活性イオンの標準イオン移動電位付近で凹状になり、γのEについての2次微分はくぼみの底付近を中心として正になる。これは、界面の微分容量が負になることを意味する。電気容量が負になると系は本質的に不安定になりγが大きく正でも、自発的にエマルションが生じる。この不安定性は、γが有意に正の値を持つときでも生じるので、電気乳化とは違った、これまでには知られていない新しい不安定性である。その基準は、(d^2γ/dE^2)_<γ,ρ,μ>>0実際には、不安定になるか否か、つまり電気毛管曲線の曲率が正になるか否かは、界面活性イオンの標準イオン移動電位とその吸着がないときの電気毛管極大電位(ゼロ電荷電位)との相対的な位置にも依存する。 この不安定電位窓の存在を、一連のアルキルスルフォン酸のイオン移動ボルタンメトリーなどにより証明した。不安定性の例を下図に示す。ある特定の電位範囲でのみ界面が不安定になり、再現性良くカオス的な挙動を示す。AOT存在下での自発エマルション生成は、この理論で説明できる。また、液膜の振動現象の根拠を与える。 2)ガラスキャピラリー電極を用いた微視的なだれ型融合の検出 これまでに数百μm程度の巨視的なエマルションのなだれ型融合を報告してきた^<1.2)>。これにくわえて、より小さなエマルションの液液界面への融合過程が存在することを、先端径が10〜100μmガラスキャピラリーの先端に作った液液界面を用いて実験的に示した。この場合も、融合はなだれ型で生じているようである。
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