研究概要 |
酵素免疫測定法にカップルして、検出感度を増幅できる3酵素シンクロナイゼーション系の開発を検討した。alkaline phosphatase(ALP),alcohol dehydrogenase(ADH),diaphorase(DIA)の3酵素が効率よく作用するための条件を最適化した。DIAは不安定であり、適用できる温度、pH条件が狭いため、DIAの代わりに電子メディエータPMSを用いて再検討したところ、DIAより安価で、安定した触媒活性が得られた。DIAおよびPMSの基質としては、従来、INT(不溶性テトラゾリウム)が使用してきたが、不溶性の生成物フォルマザンが感度低下をもたらすため、今回、可溶性テトラゾリウム(WST-1)に変更した。WST-1を用いることにより、反応時間は30分から200分までのばすことができた。また、ALPの基質であるNADP+中に約0.1%のNAD+の混入が認められ、このことがバックグラウンドの原因となることが示された。HPLCによりNADP+を精製したところ、バックグラウンドを1/10に低減させることができた。ヒトのC反応性蛋白質(CRP)を抗原とするサンドイッチ酵素免疫測定法に、今回開発したシンクロナイゼーション系をカップルさせたCRP検出系を開発した。60分の反応で、50attomoleのCRPが検出可能であることが示された。本検出感度は臨床的に充分適用可能な感度である。p-ニトロフェニルホスフェートを基質とする従来法(1酵素系)に比べて、1000倍以上高感度であった。今後、ADH中にコンタミしているALPを除去することにより、より高感度化が期待される。
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