研究課題/領域番号 |
11167255
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
有賀 克彦 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (50193082)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2000年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 脂質二分子膜 / 人工受容体 / 酵素 / シグナル伝達 / 情報変換 / 情報増幅 / 分子デバイス / ロジック回路 / シグナル物質 / 阻害剤 |
研究概要 |
半導体技術を中心とする現存技術による超微細加工には限界が見え始めており、21世紀の技術革新として全く別の発想で組み立てる情報処理システムの開発が必要となっている。我々は、そのようなシステム構築の基礎研究として、生物系に見られるシグナル伝達系を模した分子シンクロデバイスを脂質膜を基板として開発している。特に本研究では、内分泌撹乱物質等の生体関連物質の高感度検出を目的として、化学合成したレセプター分子と天然の酵素を脂質膜上に集積し、種々の信号入力による酵素活性の制御を検討している。DMPC(1mM)の二分子膜ベシクルにアミノ基とアゾベンゼン部位を持つ人工受容体(10μM)と乳酸脱水素酵素(LDH,0.7nM)を固定化し、Cu^<2+>(4μM)存在下にてLDHの活性をピルビン酸の還元に伴うNADHの減少量から見積もった。この状態では、LDHはCu^<2+>によってほぼ完全に阻害された。一方、化学シグナルとして1-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド(20μM)を加えたときには、LDHの活性は非阻害時の53%にまで上昇した。ベシクル溶液の電子スペクトル測定により、シグナル物質が人工受容体との間にシッフ塩基を形成し、その二分子がCu^<2+>を捕捉することによって、LDHの活性を維持したことが明らかになった。ここにUV光を照射するとアゾベンゼン部がシス型に異性化し、LDHの活性はわずか6%にまで低下した。これは、シス型の人工受容体のCu^<2+>捕捉捕捉能力が劣るためである。本系は、光シグナルによって酵素活性を制御するスイッチングデバイスである。また、化学シグナルと光シグナルが共存するときにのみ出力(酵素活性)が得られるAND型ロジック回路と見なすこともできる。
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