研究課題/領域番号 |
11168217
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
長濱 辰文 神戸大学, 理学部, 助教授 (70145001)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1999年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | アメフラシ / 食物嗜好性 / 吐き出し行動 / シナプス修飾 / 神経回路網 / 味覚認知 / 摂食行動 / シナプス可塑性 |
研究概要 |
アメフラシは、海藻のアオサを好んで食べ、マクサなどを嫌って吐き出す。摂食と吐き出し口の運動パターンの違いは、閉口運動ニューロン(JC)の放電時期の推移により発現する。摂食時のJC放電パターンを形成するMAの活動をマクサ吐き出し時に調べると、放電活動は変わらないが、MAがJCの放電を抑制するシナプス電位が減少することを見いだした。このシナプス修飾には脳神経節に存在するニューロンが寄与すると考えられた。本研究ではこの種の修飾ニューロンを探索することを主な目的とした。 実験ではまず、脳神経節と口球神経節を結ぶ神経の断端から逆行性に染色し、脳神経節M、Eクラスターに10個以上の細胞体を確認した(CBニューロン)。これらのうちマクサ味刺激のみに応答するものが目的ニューロンの可能性が高い。これら細胞体は小さくニューロパイルに埋っており、微小電極での長時間記録は困難であった。そこでスパイク活動の検出に使われているカルシウムイメージング法を試みた。同定済みニューロンにCalcium Green-1を導入し、放電に伴う蛍光強度変化を調べると放電頻度、期間をよく反映した。そこで動物の脳神経節、口球神経節、口唇、前触角からなる試料を用い、CBに色素導入後、口唇、前触角部への味刺激に伴うニューロンの蛍光強度変化からその応答性を調べた。味刺激には海藻からの抽出液を用いた。味刺激による応答からMクラスターのものは3タイプに分類された。I;アオサ、マクサともに蛍光強度が増大するもの。II;アオサに比べマクサのほうが蛍光強度が大きく増大するもの。III;アオサ、マクサともにほとんど変化しないもの。またEクラスターのものはいずれの刺激でも蛍光強度はほとんど変化しなかった。以上の結果、MクラスターのタイプIIが目的を満たすニューロンである可能性が高く、今後このニューロンの機能、入力経路などを明らかにする。
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