配分額 *注記 |
20,100千円 (直接経費: 20,100千円)
2001年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
2000年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1999年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
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研究概要 |
本研究では,セロトニンとPDFの役割を中心に概日時計間の相互同調の神経機構を解析し、以下の結果を得た。(1)相互同調に主要な役割を演ずる視髄両側性ニューロン群(MBN)の自発放電と光感度は夜間に増加し,昼は低下するが,セロトニンは視葉内微量投与でMBNの光応答を抑制し,その抑制の程度は夜大きい.(2)セロトニンのアンタゴニストMetergolineは昼夜ともにMBNの感度を増強するが,その増強の程度は昼大きい.(3)薬理学的解析から,この系には5-HT_7類似のリセプターが関与することが示唆された.一方、(4)コオロギ脳からPDFを精製し,アミノ酸配列を決定し、合成PDFを用いてウサギを免疫し,抗体を作製した.(5)抗PDF抗体を用いたELISAにより,視葉内PDF量が夜間に増加し,昼の後半に少なくなること、(6)免疫組織化学によりPDF細胞には外キアズマ周辺に小型細胞を持つニューロン群と,視髄基部に大型の細胞を持つニューロン群が標識された.(7)PDFの視葉内微量投与ではMBNの光応答は昼には増強され,夜には幾分抑制された.(8)PDFを昼視葉内に微量投与しMBNの感度を上昇させた後,セロトニンを微量投与すると,MBN感度は急激に低下した.(9)PDFの視葉内微量投与では,活動リズムの位相変位が惹起されたが,その位相反応曲線は主観的昼の後半から夜の前半で位相前進を,夜の後半から昼の前半で位相後退を示した.以上の結果などから,(1)光情報が強く入る昼には,概日時計の制御下に分泌されたセロトニンがMBNの感度を低下させ,同調系の昼の状態を設定し,逆に(2)PDFは昼の後半に分泌され,MBN感度を上昇させ同調系の夜の状態を作るとともに,概日時計の位相を夜の開始に一致させる作用を持つこと,(3)このセロトニンとPDFによるMBNの二重制御が時計間相互同調の基盤となることなどが示唆された.
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