研究概要 |
2-5Aシステムはインターフェロンの抗ウィルス作用を担う集合系型生物マシーナリーであり,2′,5′オリゴアデニル酸(2-5A)合成酵素と2-5A依存性リボヌクレアーゼ(RNase L)から成る.本研究は,2-5Aシステムを構成する酵素群の立体構造と,その活性発現機構を明らかにすることを目的とした. 酵素の立体構造を解明するために,RNase L(83.5kDa),RNase Lの2-5A結合部位および触媒部位であるアンキリンドメイン(40 kDa)とRNaseドメイン(43.5 kDa),2-5A合成酵素(41kDa)を大腸菌で発現,精製し結晶化条件を検討した.その結果,2-5Aとアンキリンドメインの二者複合体について針状〜柱状の結晶を得ることに成功した.アンキリンドメインについては更に,メチオニンの代わりにセレノメチオニンを取り込ませた場合でも同様に結晶化に成功し,多波長異常分散法による構造決定が可能な状況となった.今後,ビームタイムが得られ次第アンキリンドメインの構造解析を行い,2-5Aとの結合様式を明らかにする. また,RNase Lの活性発現機構に関する手がかりを得るために,触媒残基が存在すると考えられている711から720残基のアミノ酸をそれぞれアラニンに置換したアラニンスキャニング実験を実施した.しかし,いずれの変異体も野生型酵素と同程度の活性を示したことから,触媒残基はその他の部分に存在することを明らかにした.
|