研究課題/領域番号 |
11170217
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
饗場 篤 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (20271116)
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研究分担者 |
中尾 和貴 東京大学, 医科学研究所, 寄付研究部門教員 (20217657)
中村 健司 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90253533)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | H-Ras / NMDA受容体 / ERK / p38 / ノックアウトマウス / NR2B / チロシンリン酸化 / 長期増強 / H-Ras蛋白質 / 海馬 |
研究概要 |
GTP結合蛋白質H-Rasは、細胞の分化、増殖に重要な役割を果たしていると考えられていた。H-Rasの中枢神経系での機能に明かにするため、H-rasノックアウトマウスを解析し、海馬CA1領域での興奮性シナプス伝達のうち、NMDA受容体応答が特異的に上昇し、長期増強も約2倍に増大してることを明かにした。また、H-ras欠損マウス海馬ではNMDA受容体のサブユニットの発現量、構成には変化がないが、NR2AおよびNR2Bサブユニットのチロシンリン酸化量が上昇しており、それに対応して、NMDA受容体応答の特異的な上昇、長期増強の増大が生ずることが示唆された。さらに、初代培養神経細胞を用い、Ras-MAPKカスケードの活性化と受容体のリン酸化の関係を明らかにしようと試みた。その過程で、MAPKファミリーの1つERKの活性を上昇させる作用を持つNMDA刺激が同時にNMDA受容体の1つのサブユニットNR2Bのチロシン残基を脱リン酸化することを見い出した。また、NMDA刺激によりp38MAPKの活性化も生じることを確認した。NMDA刺激によるNR2Bのチロシン脱リン酸化、ERKおよびp38MAPKの活性化は、NR2Bの特異的阻害剤であるifenprodilにより阻害された。一方、ERK活性を上昇させるBDNFでは受容体の脱リン酸化は起こらず、MEKの阻害剤であるU0126およびp38MAPKの阻害剤であるSB203580ではNMDA刺激による受容体の脱リン酸化が阻害されなかった。これらの結果より、NMDA刺激によるNR2Bの脱リン酸化は、ERKの活性化およびp38MAPK活性化とは独立であることが明かとなった。
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