研究概要 |
【目的】小児の脳障害には様々な遺伝子が関係するがその多くは末だ解明されていない。そこで本研究は、単一遺伝子病やさらに頻度の高い疾患も含め、それらに関連する遺伝群を解明することを目的とした。 【単一遺伝子病】結節性硬化症をはじめとする単一遺伝子病の解析システムは確立でき、様々な脳障害を引き起こす患者の遺伝子異常が解明できた(研究発表参照)。【自閉症】頻度の高い自閉症に焦点をあてた。本疾患は多因子遺伝と考えられ新たなアプローチが必要であった。自閉症の患者や正常対照のDNAサンプルは鳥取大学および東京大学倫理委員会の承認のもと、インフォームドコンセントを得て収集した。(1)関連遺伝子解析:11のセロトニン代謝関連遺伝子についてプロモーター領域多型やSingle Nucleotide Polymorphisms(SNPs)を検討した。17SNPsを解析したところ4つのSNPs(HTR1A,HTR1B,HTR1D,HTR6)で多型が認められた。従来示唆されていたセロトニントランスポータープロモーター領域多型の関連はなく、HTR1B,HTR1D,HTR6との関連も示されなかった。しかし、HTR1A遺伝子が関連する可能性が示された。(2)インプリンテイング機構からのアプローチ:インプリンティング遺伝子を単離できるシステムとしてマウスA9細胞にヒト染色体を1本のみ保持するライブラリーを構築し研究を進めた。本システムを用いて19番染色体上のPEG3のインプリンティング機構が解析できた。さらにセロトニン関連遺伝子がインプリンティング機構と関連するかどうかを検討した。 HTR1D,HTR1A,HTR1B,HTR1E,HTR5A,HTR3A,HTR2Aの遺伝子発現を検討したが、いずれもインプリンティング機構との関連は示されなかった。
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