研究課題/領域番号 |
11170241
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大八木 保政 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (30301336)
|
研究分担者 |
中別府 雄作 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (30180350)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
2000年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1999年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
|
キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / p53 / プロモーター / 転写 / 熱ショック / 神経細胞防護 / アポトーシス / 核DNA傷害 / p53プロモーター |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)において、Aβ42は中心的な役割を果たしている。我々は、培養ニューロンにアポトーシス刺激を加えると細胞内にAβ42が増加・沈着する特異な現象を見出し、この現象はADにおけるニューロン死に極めて重要と考えた。生理的状態では細胞内Aβ42は24kD蛋白の1部として小胞体やゴルジ体に存在することを見出した。正常神経細胞ではAβ42は免疫染色されず、他の結合蛋白によりその抗原性が遮蔽されていると考えられた。しかし一旦傷害を受けると、その核に強いAβ42の染色性を認め、また24kD蛋白は核分画内に増加するので、24kD蛋白は核DNA傷害に反応する転写因子であることが示唆された。一方、培養細胞を細胞周期停止やニューロン分化に誘導しても核分画内で24kD蛋白の増加が見られたので、24kDAβ42は細胞周期調節やDNA修復に関わる転写調節因子と推定された。DNA傷害に際し、細胞周期停止を誘導する転写蛋白の1つはp53であり、そのプロモーター領域にはheat shock elements(HSE)が存在する。合成Aβ42はin vitroで特異的にp53プロモーターのHSEに結合した。またAβ42を培養細胞内で過剰に発現させると、p53mRNA発現レベルの約7倍の上昇を認め、細胞内Aβ42によるp53プロモーター活性の直接増強が示唆され、Aβ42過剰発現ではp53誘導性アポトーシスが認められた。以上より、細胞内Aβ42はフリーラジカルなどによる核DNA傷害に対して防御的に働くheat shock transcription factor(HSF)の1種であり、細胞内Aβ42が過剰に機能することでニューロンのp53誘導性アポトーシス死とそれに随伴する老人斑形成に至ると考えられた。
|