研究課題/領域番号 |
11170245
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
西 真弓 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (40295639)
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研究分担者 |
森田 規之 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (50239662)
小澤 一史 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (60169290)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | FRET / GFP / ステロイドホルモンレセプター / 蛋白-蛋白相互作用 / 生細胞 / リアルタイムイメージング / 共役転写因子 / 初代培養神経細胞 / 転写因子 / 核内レセプター / CFP / YFP |
研究概要 |
ステロイドホルモンが神経系細胞の発生、分化、機能発現に際して様々な影響を及ぼすことが知られている。こうした作用の大部分は、転写制御因子であるステロイドホルモンレセプターを介した遺伝子発現制御に基づく。リガンド結合したステロイドホルモンレセブターは通常ホモダイマーを形成して基本転写装置とともに巨大な複合体を染色体上に構築するが、この際ステロイドホルモンレセプターと基本転写装置との間を介在するいわゆる転写共役因子(cofactor)の存在が必須であることがわかってきた。神経系におけるステロイドホルモン作用の解明にはステロイドホルモンレセプターおよび転写共役因子の相互作用の機構ならび゛に異なるステロイドホルモンレセプター間のヘテロダイマー形成の可能性を検索するとともに、その作用発現の場を調節する機構を細胞種特異的にダイナミックに検索していく必要がある。こうした蛋白-蛋白相互作用の解析に、近年two hybrid systemが用いられているが、疑陽性例が非常に多いなど未だ課題が山積している。本研究は、ステロイドホルモンレセプターおよび転写共役因子、あるいは異なるステロイドホルモンレセプター同士がリガンドの添加や様々な細胞外環境の変化に対して細胞内でどのような相互作用を示すのかを、蛍光のエネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer;FRET)を利用して生細胞内でリアルタイムにイメージングして解析する系の確立を目的とした。Estrogen receptor(ER)αをCFPで、転写共役因子のSBC-1(steroid receptor coactivator1)をYFPでそれぞれ標識し、あるいはERαおよびEBβをそれぞれCFPおよびYFPで標識し、COS細胞に共発現させ、種々の薬剤を投与してその相互作用をFRETにて解析した。FRET用あるいはdonor用の蛍光フィルターセットを用いて画像を取り込み、background処理を行った後、下記の式に従って蛍光強度の比をを求め、さらにGordonらの方法(Biophys J.74:2702-13(1998))により補正してFRET値を求めた。 Positive controlとしては、CFPとYFPをglycine3個でtandemに繋いだ融合タンパクを、一方、negative controlとしてはCFPおよびYFP単独を共発現させたものを用いた。 Ratio=(Intensity of FRET-background)/(Intensity of CFP-background) FRET value=mean ratio(donor+acceptor)-(mean ratio(donor only))/mean ratio(donor only) その結果、ERα-CFPとSBC-1-YFPとを共発現させた場合およびERα-CFPとERβ-YFPとを共発現させた場合、アゴニストの17-β-estradiolを投与後15-30分後において、対照のcorticosteroneの場合と比較してFRET値の上昇を認めた。今後は、その他のステロイドレセプターとSRC-1との相互作用なども含めて、初代培養神経細胞を用いて観察を進める予定である。さらに、FRETのみならず、FCCS(fluorescence cross correlation spectrography)のような新しい技術も取り入れてsingle cellかつreal timeで神経系における転写因子相互作用を解析していきたいと考える。
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