研究課題/領域番号 |
11201207
|
研究種目 |
特定領域研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大畑 哲夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (90152230)
|
研究分担者 |
石井 吉之 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (40222955)
児玉 裕二 (兒玉 裕二) 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (70186708)
石川 信敬 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (70002277)
溝口 勝 東京大学, 農学部, 助教授 (00181917)
野村 睦 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助手 (20271629)
山崎 剛 東北大学, 理学研究科, 助教授 (80220317)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
45,400千円 (直接経費: 45,400千円)
2001年度: 8,600千円 (直接経費: 8,600千円)
2000年度: 16,500千円 (直接経費: 16,500千円)
1999年度: 20,300千円 (直接経費: 20,300千円)
|
キーワード | ツンドラ / 水循環 / 積雪 / 凍土 / 蒸発 / 流出 / 熱収支 / 融解深 |
研究概要 |
これまで3年間の主な研究成果は以下のとおりである。 (1)ツンドラ帯のティクシ観測点については、1997年夏期以降、2002年春期までの水文気象データ(AWS,フラックス観測、流域水文)が集積した。また、ヤクーツク付近の森林・草地の観測点については2000年以降の2年間の水文気象データが集積した。このような長期間にわたったツンドラ域で水循環を議論できる水文気象データセットの作成はアラスカ北部を除き世界で始めてである。 (2)北極海沿岸のツンドラの観測点については以下の結果が得られた。 (a)蒸発量の特性の解明がツンドラ地域の水循環の特性を解明する最重要な過程である。この蒸発量が4年間について6-8月3ヶ月間で110-165mmと見積もることができ、以下のことがわかった。夏期蒸発量の季節変化・年々変化は、それぞれの時間スケールでの日射量に相関が強い。これは、凍土融解深が薄く、全体に土壌表層が湿潤であることに起因する。(地表面直下の4年の最小の土壌水分量は30%であった)ただし、毎年の日射量と降水量(これが夏期期間中の土壌水分を湿潤にする要因)が反比例するため、蒸発量の変化幅は押さえられる。北米大陸で得られている結果と比較的近い値をとることが分かった。 (b)ティクシのような沿岸ツンドラの水熱交換の顕熱・潜熱項は、北および南から来る気団の性質が異なるため、風向依存性がある。 (c)ツンドラ流域での流域規模の水・熱循環モデルの構築が進み、ほぼ完成に達した。 (3)ヤクーツク北西の平地タイガ観測点では森林と草地(アラス)の比較観測を解析を進め、以下の結果を得た。 (a)からまつ森林では、森林の年齢によらず(立木密度、樹林項、生理特性が異なる)水熱交換の絶対値は近い値であった。 (b)この地域に存在する草地は、人為起源・自然起源で形成されるが、草地形成後の年代によって水熱交換の特性が異なる。形成されてから期間の短い草地は、森林に比べ蒸発量が多く、顕熱量は少ない。期間の長く、一般的に規模の大きい草地は、アルベドが高く蒸発量も顕熱量も少ない。アラスの形成史に描かれている概念図と矛盾しない結果を得た。 (c)草地、森林に適応できる一次元水熱交換モデルの検証と改良が夏期データを基になされ、この地域の領域フラックス推算の基礎ができた。
|