研究課題/領域番号 |
11213202
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研究種目 |
特定領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
菊沢 喜八郎 (菊澤 喜八郎) 京都大学, 農学研究科, 教授 (50271599)
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研究分担者 |
藤田 昇 京都大学, 生態学研究センター, 助手 (50093307)
小杉 緑子 京都大学, 農学研究科, 助手 (90293919)
嵜元 道徳 (嵜本 道徳) 京都大学, 農学研究科, 助手 (50225835)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
30,000千円 (直接経費: 30,000千円)
2001年度: 9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
2000年度: 10,700千円 (直接経費: 10,700千円)
1999年度: 10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
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キーワード | 二酸化炭素 / 光合成速度 / 開葉様式 / 一斉開葉 / 順次開葉 / 炭素吸収モデル / 二酸化炭素フラックス / 葉寿命 / 開葉期間 / 出現順位 / 常緑性 / 落葉性 / 光合成 / フェノロジー |
研究概要 |
この研究の目的は地球環境変化にともなう森林の応答を二酸化炭素吸収に着目してモデル化することにある。葉の3次元構造に関しては広く着目されているが、葉の時間方向の変化(フェノロジー)を組み込んだモデルは未発達である。本研究では樹冠の4次元構造を組み込んだモデルを構築し、検証することを目的とした。 樹木の開葉様式には一斉開葉と順次開葉の2型がある。一斉開葉は開葉時に次の開葉時までに開くべき葉を全て一斉に開葉させる。順次開葉はある間隔をおいて、1枚ずつ順次に開葉させる。一斉開葉では、多くの葉の相互被陰が生じるために、なんらかの形態的自己被陰回避様式が発達する。シュート角度を大きくするのは普通にみられる自己被陰回避システムである。これに対し、順次開葉型では、順々に葉を開くこと自身が自己被陰回避になっているために、シュート角度は小さく真上に伸長する。前者では葉の寿命が長く、最大光合成速度は低いがその時間的低下は遅い。後者では葉寿命が短く、最大光合成速度は高いが早く低下する。シュートあたりの光合成速度の変化をみると、一斉型ではどの葉も同時に出て同じように老化するので、シュートの光合成速度変化は個葉光合成速度の変化と同じである。これに対し、順次型では常に光合成速度の高い若い葉が、光条件のよい場に存在するので、シュートあたり光合成速度は常にほぼ一定に保たれる。 このような現象を再現するためにモデル化を試みた。一斉開葉型樹種には、弱光利用型の光-光合成曲線とシュート傾きを与え、順次開葉型樹種には強光利用型の光-光合成曲線と垂直のシュートおよび自己被陰を与えた。また光源からの距離を変化させて異なる光条件を与えた。この両者がどのような光条件で有利であるかを調べるために、異なる光条件下で両者を成長させた。また葉の光合成特性を開葉様式から分離するために、全く同じ光-光合成関係を持つ葉を異なる開葉様式を示すシュートに付けた場合についても検討した。順次開葉-強光利用型樹種は明るい環境条件で、一斉開葉-弱光利用型の樹種は比較的暗い条件で有利であることが示された。同じ葉をもつシュートで比較しても、順次開葉型は明るい条件で、一斉開葉型は暗い条件で有利になることが明らかとなり、開葉様式が光合成生産に寄与することが示された。
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