研究課題
特定領域研究
6種類の市販生分解性プラスチックの自然環境下での分解性を評価するために、射出成形したダンベル試験片(厚さ3mm)を土壌中、河川水中、海水中、暴露などの自然環境下および下水処理場の活性汚泥中に設置して、重量や強度の変化および電子顕微鏡による材料表面の観察結果から、材料別および設置環境別に分解性を比較検討した。また、微生物産系脂肪族ポリエステルについてフィルムーMPN法による各環境中の分解菌数を求め、設置環境と分解性について、さらにFT-IRの測定から分解の機構についても検討した。農場、河川水、海水において、微生物産系脂肪族ポリエステル、化学合成系脂肪族ポリエステルおよびデンプンと変性ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトンのポリマーアロイが比較的高い分解性を示した。活性汚泥中では、微生物生産系脂肪族ポリエステル、化学合成系脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエステルカーボネートが高い分解性を示した。ポリ乳酸は、いずれの環境においても重量の低下は認められなかった。微生物生産系脂肪族ポリエステルの分解性は、異なる地域でも同種の環境下では分解菌数との相関が見られたが、土壌、河川水、あるいは活性汚泥というような異なる種類の環境下では、分解性と分解菌数の相関が見られなかった。微生物生産系脂肪族ポリエステルのFT-IRスペクトルの測定結果より、エステル結合が分解の進行に伴って切断されること、デンプンと変性PVA、PCLのポリマーアロイではデンプンがまず分解することなどが確認された。
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