研究課題
特定領域研究
本研究では、用途に応じた物理特性や生分解性を持つ生分解性高分子材料を得るために、ポリ乳酸(PLA)に対して、物理的・化学的処理およびポリマーブレンドを行うことにより材料の分子の集合状態(構造)を変え、従来のポリ乳酸では不可能であった幅広い物理特性や生分解性を持たせるための手法を開発することを目標とした。研究の結果表面処理法(アルカリ処現ポリマーコーティング)、ブレンド法(親水性高分子、鏡像異性体ポリマー、相溶化剤の影響、無機微粒子)、多孔化法(相分離を利用)などPLAのみならず種々の生分解性ポリエステルの物理特性や生分解性の制脚のために有効な種々の手法を開発した表面処理は材料の内部を浸食することなく生分解速度のコントロールを可能とし、アルカリ表面処理法は「加速」に、ポリマーコーティングは「減速」に有効であることを示した。ブレンド法は、物理特性や生分解性への効果は、両者の親和性と分解に用いる媒体に依存するが、これらに関して、体系化された情報が得られた。一般的に、親和性が低い材料の添加は生分解を促進する傾向にあることを明らかにしたまた、多孔化は、「ソフト化」と「生分解の促進」に対して極めて有効であることを実証するとともに、多孔化のための新手法として、相分離状態の材料からの選択的水抽出あるいは酵素分解による方法を開発した。PLAの球晶外の「フリーな非晶領域」と球晶内の「束縛された非晶領域」においては、全く異なる分解挙動を示し、分解挙動の制御の際のキーファクターとなること、および結晶性の生分解性ポリエステルのリサイクル法として、高温高圧水による、融点以上における「メルト状態」での加水分解が極めて有効であることをL体のPLAを用いることにより、明らかにした。
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