研究課題/領域番号 |
11224209
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研究種目 |
特定領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
杉本 豊成 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (30093256)
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研究分担者 |
川上 貴資 大阪大学, 大学院・理学研究所, 助手 (30321748)
黒田 規敬 熊本大学, 工学部, 教授 (40005963)
植田 一正 大阪府立大学, 先端科学研究所, 助手 (10275290)
吉岡 泰規 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00291451)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
39,900千円 (直接経費: 39,900千円)
2001年度: 13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
2000年度: 13,700千円 (直接経費: 13,700千円)
1999年度: 13,200千円 (直接経費: 13,200千円)
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キーワード | テトラシアノキノジメタン / ラジカルアニオン塩 / 室温強磁性現象 / 磁場下の結晶成長 / 電子物性の磁場効果 / 新しいドナー分子 / 磁性金属錯体 / 磁性金属アニオンを持つ電荷移動塩 / アクセプタ / 結晶構造 / 室温強磁性的挙動 / 磁気秩序機構 / 分子軌道計算 |
研究概要 |
今年度は本研究課題の最終年であるので、当初の研究目標を達成するために精力的に研究を実施した。数年前に研究グループの一人である杉本は、地球磁場下(ほとんどOT)でCH_3CN/Et_2Oから再結晶により得られたCs_2TCNQ_3塩の結晶が、室温下で飽和磁化は小さいが強磁性を示すことを見出した。従来の純有機の強磁性体のキュリー温度は高くても20K程度であったので、この室温強磁性の発見は大変な注目を浴びた。しかし、この室温強磁性の発現が、Cs_2TCNQ_3塩の結晶中に含まれている強磁性金属によるものではないかとの疑念がもたれた。これを払拭するために、その後このCs_2TCNQ_3塩の結晶が示す室温強磁性の磁気構造および発現機構の解明に努力して来たが、大きな進展が見られなかった。ところが、この特定領域研究が発足し、研究分担者として参画していただいた黒田および川上両氏の協力のもとに、強磁場下結晶成長法による"磁場ドーピング"手法を用いて、Cs_2TCNQ_3塩の固体電子状態およびそれに基づく電子物性を変化させたことにより、この室温強磁性の発現は強磁性金属等の不純物によるものではなく、Cs_2TCNQ_3塩固有の電子物性であることを明らかにした。とくに、Cs_2TCNQ_3塩の結晶における"磁場ドーピング"効果は5Tの磁場以上で起こり、これにより強磁性のキュリー温度も320Kから400Kに上昇した。以上、解決せねばならなかった研究目標の一つは一応終了し得たことになるが、まだこの室温強磁性の発現機構に関しては未解決のままである。 これに加えて、(1)Cs_2TCNQ_3塩の高圧光学測定、(2)新しいドナー分子を用いたπ-d分子系の作成、(3)金属伝導性を示す、中性金錯体ポリマー薄膜の作成、および(4)BETS結晶におけるドナー分子と対アニオン間のπ-d相互作用の理論的解析の研究課題についても研究を行い、興味ある成果を得ている。
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