研究課題/領域番号 |
11224210
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研究種目 |
特定領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 理化学研究所 (2000-2001) 東邦大学 (1999) |
研究代表者 |
田村 雅史 理化学研究所, 分子物性化学研究室, 副主任研究員 (00231423)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
16,800千円 (直接経費: 16,800千円)
2001年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
2000年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
1999年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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キーワード | 有機導体 / 希土類 / 金属錯体 / 磁性 / 結晶場分裂 / 超伝導 / 有機伝導体 / 分子性伝導体 / f電子 / 分子性導体 / 伝導性 |
研究概要 |
希土類の4f電子と有機分子のπ電子の複合物質系を開発して、両者の相関による新規な磁性や伝導性を実現するための基礎研究をおこなった。これまですでに低温まで金属伝導を示す化合物を数種類開発したが、構造に乱れが入りやすい、4f電子と周囲の相互作用が小さすぎる、といった点が課題であった。そこで、用いる希土類陰イオン錯体の電荷と寸法を低く抑えるように配位子を選択して、β"-(BO)_2[YbCl_4(H_2O)_2]という化合物を得た。この物質は構造の乱れを含まず、低温まで金属伝導を示す。また陰イオン間に水素結合ができて架橋された結果、希土類を含むこの種の化合物としては初めて陰イオンが鎖状構造をもつものが得られた。しかしこの架橋構造も4f電子間の相互作用を媒介するにはまだ不十分で、磁気秩序などは生じていない。またこの結晶自体も準安定状態にあり、常温で徐々に、210K以下で絶縁化するα相に変化する。これ以外に、希土類イオンの磁性(特に磁気異方性とその温度変化)を具体的な構造に基づいて予測・解釈するために、等価演算子法を用いて結晶場分裂を求め、任意の配位構造・温度・磁場方向に対する磁化率を計算するプログラムを作成して、これまでにこの研究課題で得た化合物などの磁性の温度依存性データと結晶場分裂を考慮した計算結果を比較して、実際に結晶場効果がこれらの化合物の磁性を支配していることを示した。これは含希土類有機導体の磁性の構造による制御・設計をおこなううえで必要な基礎研究成果である。希土類系とは別に、数MHz帯の高周波磁化率を測定する装置を設計・製作し、低温・高圧条件下で超伝導性が報告されている数種の[Pd(dmit)_2]塩に適用した。その結果、これらの超伝導は通常のバルク超伝導とはいえないと結論した。
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