配分額 *注記 |
19,600千円 (直接経費: 19,600千円)
2001年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2000年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1999年度: 10,400千円 (直接経費: 10,400千円)
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研究概要 |
本研究課題では,分子性物質における複合物性へのアプローチとしてスピン自由度に注目している. 広帯域フーリエ変換NMR測定システムを整備し,微視的な観点から測定を行っている. 平成13年度の主な成果は以下の通りである. (1)擬一次元二本足梯子系(BDTFP)2X系のスピン状態 (Mol.Cryst.Liq.Cryst誌:印刷中,J.Phys.Soc.Jpn.誌 投稿中) 表題の物質は有機擬一次元二本足梯子系として量子スピン系の基本問題として興味深く,我々は微視的な観点からの測定を行った.その結果,温度変化・アニオンの違いにより,spin-singlet・電荷分離相が競合することがわかった.また,スピン自由度の残っている電荷分離相では二本足梯子系に起因すると考えられるスピンギャップが成長するが,梯子間の相互作用により有限温度で反強磁性相が安定化することを見いだした. (2)複合スピン系(CHTM-TTP)2TCNQの低温電子相 (Synth.Met.誌:投稿中) 我々はESRのg主値解析を詳細に行い,この系が新規な局在-遍歴複合スピン系であることを見いだした.NMR緩和時間測定からTCNQ側のスピンが2段階に減少・消失していることがわかった.この相転移は電気抵抗のjumpを伴うことから,複合スピン系の協力現象として興味深い. (3)擬一次元電子系(TMTTF)2Xの電荷分離状態(J.Phys.Chem.Solids印刷中) 伝導電子密度の高い分子中央二重結合部のC原子をNMR測定にかかる安定同位体13Cに置換した(TMTTF)2Brについて13C-NMR測定を行い,SDW転移頂上で電荷が不均一になっていることを見いだした.また,電場勾配に関する情報が得られるBrについても測定を行い,電荷揺らぎに由来すると思われる現象を観測できた.
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