研究課題/領域番号 |
11237208
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
藤田 尚志 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (10156870)
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研究分担者 |
渡邊 伸昌 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (00270687)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
59,300千円 (直接経費: 59,300千円)
2003年度: 11,100千円 (直接経費: 11,100千円)
2002年度: 11,100千円 (直接経費: 11,100千円)
2001年度: 12,700千円 (直接経費: 12,700千円)
2000年度: 12,700千円 (直接経費: 12,700千円)
1999年度: 11,700千円 (直接経費: 11,700千円)
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キーワード | 遺伝子 / ウイルス / シグナル伝達 / 発現制御 / 免疫 / 核移行 / コアクティベーター / 燐酸化 / インターフェロン / リン酸化 / ウイルス感染 / IRF-3 / CBP / p300 / アセチル化 |
研究概要 |
ウイルス感染が起きた細胞内では、はじめにIFN遺伝子を含む種々の遺伝子の発現が誘導され、抗ウイルス作用などの生体防御機構が働くことになる。我々はこの一連の活性化機構のうちIRF-3が最初に活性化される転写因子である事を明らかにしてきた。これまでにIRF-3の活性化は新たな蛋白質合成を必要とせず、既存の分子の燐酸化等による修飾、分子の会合を介していることを明らかにした。すなわちIRF-3の特異的な燐酸化の結果2量体が形成され、そこにコアクティベーターであるp300/CBPが複合体に加わり活性化型のホロ複合体になる。北大、稲垣教授のグループと共同でIRF-3の転写制御ドメインに相当する部分(175C)の構造決定を行った。解かれた構造より、IRF-3はSmadと立体構造的において類似していることが明らかとなった。SmadはTGF-βによるシグナルの下流で活性化される転写因子であり、これまで上流のシグナル並びに下流の標的遺伝子において、インターフェロン系との関連は全く考えられていなかった。両者は一次構造上の類似性が低いものの、重要と考えられるアミノ酸残基の保存が見い出されることから、共通の祖先から進化した遺伝子と考えられた。 結晶状態では175Cは2量体に類似した配向を取っていた。そこでは一方のIRF-3の分子の一部が他方の分子のポケット状の部分と相互作用して2量体の構造を支持しているものと考えられた。挿入されている部分はこれまで我々が提唱してきた燐酸化部位をふくむループであり、実際に燐酸化により静電的な相互作用が増加するものと考えられた。われわれは本年度、新たな燐酸化特異的抗体を用いて、セリン386が生理的な活性化状態において重要である事を明らかにしたが、この事実と解明した2量体構造が良く一致した。ポケット構造に変異を導入したところ、セリン386の燐酸化に関わらず2量体形成が著しく阻害され、燐酸化による2量体形成のモデルが検証された。従って、これまでHiscottらにより提唱されていた阻害ドメインによるモデルは正しくないこと、IRF-3は構造上Smadと類似しているのみではなく、燐酸化残基とそれを受容するポケットによって、多量体形成を行うという機能的類似性も明らかとなった。
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