研究課題/領域番号 |
11301014
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
考古学(含先史学)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川越 哲志 広島大学, 文学研究科, 教授 (20033491)
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研究分担者 |
中橋 孝博 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (20108723)
中越 利夫 広島大学, 文学研究科, 助手 (80144799)
河瀬 正利 広島大学, 文学研究科, 教授 (30093743)
松井 章 奈良文化財研究所, 主任研究官 (20157225)
河村 善也 (河村 善成) 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (00135394)
古瀬 清秀 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70136018)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
22,860千円 (直接経費: 20,100千円、間接経費: 2,760千円)
2002年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2001年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2000年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
1999年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
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キーワード | 西日本 / 石灰岩地帯 / 環境適応 / 帝釈峡遺跡群 / 洞窟遺跡 / 岩陰遺跡 |
研究概要 |
本研究は旧石器時代以降の、西日本石灰地帯における人間の生活活動や、それを取り巻く自然的、社会的環境の分析を通じて、人間と環境との共生、適応関係について、考古学・人類学・古生物学・環境考古学から学際的、総合的に究明しようとするものである。研究のフィールドを広島県北部の帝釈峡石灰岩地域に置き、帝釈峡遺跡群の発掘調査を通じて、学際的な検討を行った。その結果、帝釈風呂洞窟遺跡出土の獣骨歯の分析から、この地域の後期更新世は乾燥地や草原といった自然環境ではなく、むしろ全体的には温帯の森林であったことがわかった。しかし、絶滅種の小形動物(レミング、ニホンモグラジネズミなど、放射性炭素年代測定で約32,000年前に比定)の存在から、最初は寒冷気候であり、次第に温暖化していったことが指摘できる。さらに縄文時代以降にはハタネズミ属の出現頻度が高くなり、人為的な森林破壊が行われたり、農耕地が拡大していったこともわかる。動物学考古学的分析からは、帝釈川流域の遺跡群では縄文時代に河川漁労が活発で、モクズガニなどカニ類の捕獲が盛んであったこともわかった。人類学的検討では、この地域の縄文人は岡山県・津雲貝塚や愛知県・吉胡貝塚など他地域と共通する特徴を有し、山間部に生活する人間の食生活を含む生活文化に瀬戸内や太平洋沿岸の人たちとの違いを明らかにするには至らなかった。考古学的分析では現在のところ、旧石器時代まで生活痕跡は遡らず、縄文時代中心であるが、新しい時代の古代・中世の人たちの生活の実態がわかってきた。生活の道具は開地遺跡の生活様式とほとんど差はみられず、石灰岩地帯特有の生業があるのか否かは今後の課題となっている。 本研究では、山間部石灰岩地帯の自然環境と人間の生活の関わりを検討したが、人間はいかなる自然環境においてもたくましく、生活適応を果たしている可能性を指摘できた。
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