配分額 *注記 |
37,690千円 (直接経費: 37,300千円、間接経費: 390千円)
2001年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2000年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
1999年度: 24,000千円 (直接経費: 24,000千円)
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研究概要 |
雲形成過程の解明--準実スケール雲物理実験設備を使用して,人工的に形成された雲に関する一連の雲物理過程についての研究を行った.空気塊が上昇するにつれて,相対湿度が増加し,含まれているエアロゾルが活性化し,その後凝結成長して雲粒になった様子を実測例ではじめて示すことができた.他方,形成された雲粒粒径分布に影響を与える各因子の効果も実測ではじめて示すことができた.そして雲形成過程の解明のために雲物理実験設備の有用性が実証された.立坑実験においては,影響因子を完全に制御できるわけではないので,雲粒成長の数値モデルを作成し,これらのパラメータを個々に変化させ,形成される雲粒粒径分布に対してそれぞれが与える影響について広範囲の因子領域に渡って考察した.上記の実験結果について,自然大気中の雲形成過程でも実際に起こっていることを確認する必要があるだろう.そこで我々は,雲底下のエアロゾル数濃度と雲内の雲粒数濃度との関係を定量的に調べることを目的として,同時期に航空機観測も行った.それによると,エアロゾル数濃度が増加すると雲粒数濃度が増加することがわかった. 酸性雨の解明--酸性雨の形成を理解するには,雲粒時,雨滴時,雪粒子時の3つの降水粒子形成過程における機構を考えなければならない.まず最初に雲粒時においてだが,実大気中の観測では,海洋上で船舶を用いて,海霧について研究した.次に立坑実験設備を用いて,亜硫酸イオンの酸化実験を行った.430m高度差のある坑頂に到達するまでには酸化反応が進んだ.その速度は実験室のバルク溶液で行った実験から得られる反応速度に比べると非常に速いものであった.次に雪粒子時においてであるが,立坑実験設備には冷却設備がなく,現状では行うことができない.重要な研究課題と考えられるので,降雪粒子のガス掃去に関する室内実験と野外観測の結果をレビューした.
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