研究課題/領域番号 |
11304033
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
層位・古生物学
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
福澤 仁之 (福沢 仁之) 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (80208933)
|
研究分担者 |
山田 周二 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (80295469)
塚本 すみ子 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (30275010)
岩田 修二 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (60117695)
北川 浩之 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (00234245)
松岡 數充 (松岡 数充) 長崎大学, 水産学部, 教授 (00047416)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
30,540千円 (直接経費: 29,700千円、間接経費: 840千円)
2001年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2000年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
1999年度: 21,300千円 (直接経費: 21,300千円)
|
キーワード | 湖沼 / 年縞 / 堆積物 / 古気候 / モンスーン / レス(loess) / 古土壌 / セディメント・トラップ / 年稿 / 湖沼・内湾・レス堆積物 / バーブ(varve) / テレコネクション / 大気循環 / テクトニクス / 高分解能 / 地質学的手法 / 第四紀後期 |
研究概要 |
水月湖や深見池などの現在年縞が形成している湖沼で、表層下4mの年縞堆積物コアを多数採取した.そして、堆積構造の薄片観察、鉱物・化学組成および珪藻などの化石群集組成の検討をおこない、更新世以降の検討も含めて年縞形成機構についての多くの結果を得た.主な結果のみを以下に示す. 1)湖底水塊の溶存酸素が乏しい部分循環湖沼においては、薄片観察によって、年縞が肉眼で認められない堆積物表層でも年縞が形成されている.これは現在から、年縞編年が行えることを意味している 2)環境変動によって、年縞を構成する生物化学粒子の組成が大きく変動しており、それによって年縞の形態が大きく異なる.とくに、明暗のラミナが季節変動によって頻繁に形成されることがあり、明暗ラミナの計数のみで年縞編年が必ずしも行えないことが明らかになった. 3)部分循環湖沼では、供給される有機物の酸化分解が多くの硫化鉄鉱物が湖底表層で晶出している.従来は間隙水からの晶出すると考えられたが、それが誤りであることを明示した. 4)中国大陸から供給され、大陸内部の植生被覆面積を反映する風成塵フラックス変動によって、晩氷期における夏季の東アジアモンスーンの強化がグリーンランドや南極の氷床コアに記録された突然かつ急激な温暖化に比べて600年から700年も先行するすることが明らかになった. 5)更新世以降の湖沼内の生物生産量を反映する有機炭素フラックス変動を上述の風成塵フラックスに比べると明瞭な突然かつ急激な変動を示さず、次第に増加していくことが明らかになった. 6)人為的な環境改変によって、湖沼水塊の水温、pHおよび溶存酸素が大きく変動して、形成されている堆積物の鉱物・化学・化石組成に直ちに反映することが明らかになり、それがどれくらいで元の状態に回復する期間も明らかになった.すなわち、環境変動に対する湖沼生態系の応答とその速度について明らかにできた. 7)1662年の地滑りによるせき止めで形成され、人為的に改変されていない深見池の年縞堆積物を用いて、歴史時代以降現在までの珪藻化石群集変化と、気温・降水量などの気象観測データとの対応関係を検討した結果、必ずしも良い相関は得られず、信頼度の高い変換関数の公式を作れなかった. これらの検討結果は、The Quaternary Research, Terra Nostra,月刊地球(Fukusawa,1999;Fukusawa et al., 2000,2001:福澤、1999、2000)などで予報し、まもなくQuaternary Internationalなどで公表される.
|