研究課題/領域番号 |
11304048
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
稲辺 保 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20168412)
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研究分担者 |
田島 裕之 東京大学, 物性研究所, 助教授 (60207032)
内藤 俊雄 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20227713)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
39,760千円 (直接経費: 37,900千円、間接経費: 1,860千円)
2002年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2001年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2000年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1999年度: 28,200千円 (直接経費: 28,200千円)
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キーワード | フタロシアニン / 電気伝導体 / 部分酸化塩 / π積層構造 / 局在磁気モーメント / 巨大磁気抵抗 / 磁性伝導体 / 低次元導電体 / 圧力依存性 / 磁気抵抗 / ナフタロシアニン / 一次元導電体 / 強相関電子系 / 中性ラジカル / 電子系の次元性 / 導電体 / 局在スピン / 電気伝導度 / 磁化率 / π-d系 / 負の磁気抵抗 / スピンラダー / Ni(dmit)_2 |
研究概要 |
本研究では、軸配位子を付けたフタロシアニン(Pc)錯体を構成成分と.し、独自に開発した「階段状積層構造」を利用した新規導電体の開発を行った。非磁性のCo^<III>を中心金属とすることで導電体が得られ、中心金属を磁性イオンであるFe^<III>とすることで磁性導電体が得られる。また、軸配位子は主としてシアノ基とした。 [Co^<III>(Pc)(CN)_2]^-を電気化学的に酸化することで、Pc環が開殻構造となった中性ラジカルが得られる。この化学種のみの結晶の導電性は高くないが、結晶溶媒を含むことでPc環の重なりが効率的になり導電性が増加する。また、結晶溶媒の種類によりπ積層構造の形態が変化し、「階段状積層構造」の特徴である多様なπ積層構造が達成された。中性ラジカルでは電子相関の効果で半導体にしかならないが、一部アニオンを含んだ結晶(部分酸化塩)は金属的な導電体となる。これはカチオンの選択によって達成され、一次元的から二次元までの積層構造をもつ6種の部分酸化塩が開発された。このうち二次元シートが2枚重なった積層構造を持つ結晶では、圧力下で低温まで金属状態が維持され、超伝導実現への糸口がつかめたと考えている。 [Fe^<III>(Pc)(CN)_2]^-の電気化学的酸化は、Co塩と同形の導電性結晶を与える。このうち、一次元的な積層構造をもつ部分酸化塩について物性の詳細な比較を行った。反射スペクトル、熱電能から求められるπ電子系の特性は両者で等しいことが解ったが、電気伝導性は両者で著しく異なり、Fe塩では低温で顕著な絶縁化が見られた。これは、この物質に特有の周期的に配列したPc環の中心に存在する磁気モーメントに由来しており、磁場を印加することで磁気モーメントの方向が揃い、抵抗が激減する「負の巨大磁気抵抗」の現象を示すことを見いだした。これは一次元系としては特異であり、新規な磁性導電体が開発されたと考えている。
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