研究概要 |
次世代ネットワークにおけるシステム資源を考慮した品質保証制御技術の確立のために,以下の研究を行なった. 1 各システムレベル間でのQoSパラメータ変換手法 マルチメディアシステムを構成する各システム要素では,提供可能な,あるいは理解可能なQoSがそれぞれ異なる.そこで,実際のマルチメディアデータを対象としたシミュレーション実験および実証実験を行なうことにより,動画像品質と,エンドシステムで符号・復号化のために必要となるCPU資源量および生成された動画像データを実時間転送するために必要となるネットワーク資源量との関係を明らかにした. 2 QoS提供のための制御技術 提供可能なQoSは各システムレベル間だけでなく,それぞれのシステムの実装方法,アーキテクチャによっても異なる.そこで,上記の項目1の研究と平行して,各システム要素がどのようなQoSをどのようにして提供しなければならないかについて検討し,エンドシステムとしてはHiTactixなどのリアルタイムOSを,ネットワークとしてはTTCP/ITMなどの資源予約型ネットワークを用いることにより高品質かつ効率のよい動画像通信のためのQoS保証が可能となることを明らかにした. 3 統合化資源割当制御に基づくQoS調整手法 コストモデルを導入することによりユーザ効用を最大化する最適な資源割当手法を提案し,解析的手法および実証実験によりその有効性を示した.提案手法では,サーバ,ネットワークおよびクライアントの利用可能な資源量を統合的に取扱うことにより,割当資源に対して支払う対価(コスト)と得られる動画像の品質(利得)によって表されるユーザの効用を最大化する資源配分を可能とする.エンドシステムは資源割当手法によって割り当てられた資源量に基づいて要求,提供する動画像データの品質(QoS)を調整する. 4 統合化資源割当制御の有効性,実用性評価 実証実験により,上記の成果を組み合わせた提案手法を用いることにより,マルチメディアシステムを構成するそれぞれのシステムが協調しあい,利用可能な資源を有効活用することによりマルチメディアシステム全体で統一的なQoS保証が実現できることを示した.
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