研究概要 |
CFTに関する研究成果は,種々の指針などにまとめられているが,柱や接合部など主として構造要素に関するもので,CFT構造による骨組全体の性能に結びつけて,それらの成果が整理されていない.これからの時代の設計法では,骨組あるいは構造物全体での要求性能が明確にされ,それを実現する骨組の構造計画,構造設計が重要である.また,CFT構造は特に柱材の性能が優れているので,設計で想定する崩壊形式の選択は他の構法に比べて自由度があること,構造材料の高強度化に伴いCFT柱は長柱化するため,純ラーメン構造として設計することは無理で,CFT柱の特性を生かしながら他の耐震要素と組み合わせて,合理的な骨組構成とその性能評価法の研究が必要である. 以上のことから,本年度は以下の事項について検討を行った. 1.既往の研究成果および各種指針類の総合的比較検討 既往の文献,指針類に基づき,部材断面,部材,接合部,柱脚,耐震要素,骨組,についての構造性能(耐力,剛性,変形能力)の評価式と適用範囲について比較検討を行い,適正な使用条件について検討を行った. 2.骨組の全体挙動に関する解析的検討 CFT構造骨組の構造計画および性能評価法を提案するための基礎資料を得ることを目的とし,CFT,SRC,RC,Sでそれぞれ構成された骨組の動的解析を行い,それらを比較検討することにより,CFT構造骨組の特徴について検討した. 3.骨組の載荷実験結果の検討 3層1スパン骨組試験体を7体製作し,載荷実験を行った.実験変数には,柱梁接合部の種類(外ダイアフラム形式と鉛直スチフナ形式の2種類),骨組に組入れるスリット入り鋼板耐震壁の有無と種類を選んだ.載荷実験の結果,鉛直スチフナ形式の接合部で構成された骨組の耐震性能は外ダイアフラム形式の接合部で構成された骨組のものと同等以上の性能を持つことを示した.さらに,スリット入り鋼板耐震壁は骨組の構造性能を向上させる上で有効であることを示した.
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