研究分担者 |
新倉 貴子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10301491)
神山 圭介 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30296553)
松岡 正明 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (70222297)
松田 修二 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70296721)
矢持 忠徳 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80306844)
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研究概要 |
本年度の研究で、私達は、前年度までに確立した、ApoE4による神経細胞死誘導系において、その分子機構を更に解析し、百日咳毒素がApoE4による神経細胞死を抑制することを見い出した。Ron Taussigらが開発した百日咳毒素非感受性変異を持つGi1,Gi2,Gi3,Go遺伝子を用いて、百日咳毒素の分子標的を検討した。その結果、百日咳毒素によって抑制されたApoE4による神経細胞死は、百日咳毒素非感受性変異Gi1,Gi2,Gi3遺伝子の発現によって回復し、百日咳毒素非感受性変異を持つGo遺伝子の発現によっては回復しなかった。すなわち、ApoE4による神経細胞死シグナルは、Gi1,Gi2,Gi3のいずれか、もしくは、すべてが介在し、Goにはその能力がないことを示す。一方、同系では、ApoE4による神経細胞死はLRPが介在することが証明されているので、結局、ApoE4がLRPに結合すると、Gi1,Gi2,Gi3のいずれか、もしくはすべてにシグナルが伝達され、細胞死が誘導されると結論される。私達がこれまでに蓄積した研究成果と併せると、Gi蛋白は活性化の後遊離するβγサブユニットを介して細胞死を誘導する可能性が高い。今後、LRPとGi蛋白との機能的共役機構、G蛋白の細胞死分子標的の同定等、極めて興味深い課題が明らかになった。更に、私達は、家族性アルツハイマー病変異体のモデルマウスを独自に作成しているので、マウスApoEノックアウトマウスやヒトApoE4のノックインマウスとの交配による神経病変に対する影響などの検討に、今後の大きな発展が期待される。
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