研究課題
基盤研究(A)
リガンドータンパク質複合型抗腫蕩性天然物C-1027クロモフォアは、ホロタンパク中で保存中にかなり分解することが分かった。そこで新鮮なサンプルを新たに発酵によって生産し、3DNMR測定を行い、シグナルの完全帰属と距離情報等を求めた。アポタンパク質の分解機構は、Gly96のメチレン水素がクロモフォアにより引抜かれて進行していることが判明した。そこで、Gly96のメチレン基を重水素化したd_2-Gly96-c1027アポタンパク質の合成を検討した。特異的にGly96だけを重水素化することは出来なかった。しかし、放線菌アポタンパク質遺伝子を大腸菌内で発現させ、d_2-Gly96を培地に導入して、全てのグリシンを重水素化(重水素化率74%)した改変アポタンパク質を合成することができた。これにクロモフォアを会合させ、分解速度を求めた。重水素化率100%に換算すると、6.8倍遅いことが分かった。これは、クロモフォアによる水素引き抜きが、ラジカル機構で進行していることを支持する。そして、クロモフォアを6倍以上安定化する超タンパク質の開発に成功した。また、天然物C-1027を発酵生産し、精製したばかりの新鮮な試料は従来観測していたEPRと異なるスペクトルを示すことが分かった。この高磁場EPRスペクトルを詳細に測定し、中間体p-ベンザインビラジカル三重項の観測を試みたが、成功しなかった。クロモフォア合成モデル分子がp-ベンザインビラジカル形と平衡になっている。その溶液のESRスペクトルがp-ベンザインビラジカル3重項を含むかどうかを確認するため、ビラジカルを発生するC3またはC6位を^<13>Cラベルしたモデル分子を合成することに成功した。そのESRを詳細に検討した結果C3およびC6位には、ラジカルが存在していることがわかった。
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