研究概要 |
マイクロマシンの実用化は,機械としての信頼性を確保した上で初めて成り立つものであるため,マイクロマシンで使われるサイズの機械要素自身の機械的特性・疲労特性の評価手法を確立することが不可欠である.しかし,微小機械要素の特性評価に関する研究の歴史が短いこともあり,機械的特性の標準試験法をはじめてとしてその特性評価法は未だ確立されていない.そこで,本研究においては,微細放電加工機(三菱電機(株),PX05)を基に,金属薄膜の高精度微細加工が行える超微細放電加工システムを開発し,厚さ50μmの金属薄膜微小試験片の加工条件を検討して,R_<max>=1.0μmと十分に小さい加工面あらさを得ることができ,微小試験片を十分な精度で加工できることを確認した.また,種々の微小引張試験片のチャッキング方法を検討し,超微細放電加工システムの利点を生かし,試験片チャック部と試験片保持部の一体化加工法を用いた試験片形状を新たに考案することにより,比較的容易にかつ効率よく微小材料の引張・疲労試験ができることを示した.さらに,レーザースペックルひずみ測定法を微小材料に応用し,微小材料レーザースペックル非接触ひずみ測定システムを開発した.これらの加工システムとひずみ測定システムを用いて,厚さ50μm,幅1mmの析出硬化型ステンレス鋼薄膜微小試験片の引張試験,疲労試験を実施し,機械的特性と疲労に及ぼす試験片採取方向,試験片加工方法の影響について検討した.冷間圧延材である本供試材では,試験片採取方向により引張試験における破断ひずみ・破面形態が異なること,試験片採取方向が疲労強度に及ぼす影響は見られないことなどを明らかにした.
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