研究課題
基盤研究(A)
Bacillus circulans由来2-デオキシ-scyllo-イノソース(DOI)合成酵素遺伝子(btrC)を活用して有機工業資源、医薬工業資源を再生可能資源から調製する方法を開拓すべく基礎的応用的研究を行った。(1)大量発現btrCによるDOIの酵素的生産とカテコール等ベンゼノイドへの変換を行った。(2)組み換え大腸菌の培養によるDOIの生産を検討し、グルコースから25%程度変換出来る条件を見い出した。(3)DOIの分離精製を検討し、活性炭での吸脱着とイオン交換樹脂及び合成吸着剤にて精製する方法を確立した。(4)野生型ヘテロダイマー酵素の発現系を構築し、その優れた安定性を明らかにした。(5)基質類縁体を用いて基質認識における特異的水素結合を明らかにし、また機構依存的阻害剤を活用して活性中心マッピングを行った。(6)代謝工学によりDOIを蓄積させるため、次段階のアミノ基転移酵素遺伝子をB.circulansに検索しbtrCの上流にbtrSを同定した。(7)btrS遺伝子のin frame破壊株を構築した、DOI生産性を検討中である。(8)btrCの酵母への組み換えと発現に成功してBtrCたんぱく質の産生を確認した。同様に枯草菌での発現を目指して、発現用プラスミドを構築した。(9)アミノ配糖体抗生物質生産放線菌から新規の糖質環化酵素を探索し、btrSに対応するアミノ基転移酵素とともにDOI合成酵素遺伝子を初めて取得してそのDOI合成機能を確認した。(10)DOIの有用性拡大に向けて種々検討し、BtrSを用いてDOIから2-デオキシ-scyllo-イノサミンへの変換に成功し、またDOIから6工程という光学活性カルバグルコースの簡便合成法を開発した。これらにより糖質環化酵素による生産性向上と改質に向けた研究基盤を整備し、DOIの有用性を示した。
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